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名誉学長のご挨拶

名誉学長 加藤寛

「80周年記念行事を祝う」

 世界の大学の歴史から言えば、800周年を超えるものがあるのに、80周年であることを記念行事にするのはという声もありますが、当事者にすれば10年10年の歴史の刻みがその後の発展につながっていくと期待しています。しかも日本の私学は古来、社寺仏閣によって始まったものが多く、そのほとんどが創設者の建学の精神をみごとに具現しており、その次なる飛躍への礎としたいという意向が強いのです。本学の場合も80周年を次なる100周年への出発点として考えております。

 ちなみに本学は創設者、遠藤隆吉先生がその教育理念を伝統として営々と今日の発展を刻んできたことを誇りとしているところであります。遠藤先生は福澤諭吉より40年後に生を受け、社会学の泰斗として自らの力で巣鴨に学園を開き今日の大学の基礎を創りました。当時の新聞では明治の教育者福澤諭吉、昭和の教育者遠藤隆吉と並び讃えられていました。遠藤先生の哲学を記した「万物流転」の石碑文は現在の市川キャンパスの正門にその光芒を放っています。先生は自らを「余は学者に非ず、教育家に非ず、又政治家に非ず、実業家に非ず、而して治道家なり」と律しておられましたが、巣鴨商業高校設立の趣旨について次のように明言しております。

「今日商業道徳の頽廃は頗る寒心すべきものあり」

 これは福澤諭吉の慶應義塾設立の趣旨と共通していると思えるほど、遠藤先生は厳父と福澤との交流の影響を受けておられました。まさに世の道筋を明らかにする治道家であられたのです。

 この記念すべき時に、島田晴雄新学長をお迎えして、100周年に向けてのまさに新しい第一歩を踏み出すことになりました。これを契機に丸の内サテライト(仮称)などを市川キャンパスに付加するとともに、保護者の方や同窓会のご協力も得ながら、地域協同大学(univer-City)をますます突き進めていきたいものだと願っております。

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