2015.06.25 UP

地域文化の情報発信で、地域の活性化に貢献

政策情報学部朽木ゼミナールが地域の魅力を発信!

地域・歴史・文化・民俗を研究テーマとする政策情報学部の朽木量教授のゼミナールでは、市川市の中山法華経寺へとつながる参道の商店街にスポットを当てた情報誌『中山参道どっと混む』を制作・発行しています。
市川市の中山地域は、中山法華経寺が開かれた鎌倉時代からの歴史や文化が根付き、参道には、懐かしさを感じる商店街があります。学生たちはその魅力を同誌を通して発信しています。
また、朽木ゼミナールの活動は、市川市三丁目地域の情報発信もスタートしています。

まちづくりを学ぶ学生×活性化をめざす商店街 ~地域プロデュースの手法を探る~

朽木ゼミナールは2012年10月に開催された市川市主催の中山地域のイベントで、商店会や地域の魅力を紹介するブース「中山お散歩コンシェルジュ」を開催しました。このブースは、花・歴史・店舗など約36万通りの組み合わせから、690人の来場者の好みに合わせたお散歩用の地図をその場で作成し配布するもので、来場者にたいへん好評で、地域の魅力発信に役立ちました。
その一方で、中山参道商店会は店舗数が減少するなかで、イベントなどの開催により活性化に取り組んでいたこともあり、朽木ゼミナールの「中山お散歩コンシェルジュ」を一過性のイベントで終わらせることなく、冊子としてステップアップすることで、持続的な地域活性化を後押しできるとして商店会からも賛同を得て、冊子の発行を進めることになりました。
まちづくりや地域の活性化に取り組む自治体や商店街はたくさんありますが、地域の問題や魅力は意外と地元の人は気づいていなかったり、年代によって感じ方もさまざまです。朽木ゼミ生一同奮起し、徹底したフィールドワークから学生目線で新たな魅力を探り、情報を発信する活動を行います。地域プロデュースのスタートです。

取材、執筆、編集、デザイン全て学生が「やってみる」

朽木ゼミナールでは学生をグループに分け、それぞれ担当するページのテーマを決めて地域活性化の資源を探します。寺社をはじめ歴史や文化を感じるスポット、自然の見どころ、各店舗が扱う商品、グルメの数々。40件以上を取材します。
取材ではすべてにアンテナを張って気づいた点を調査します。目で見て聞いたこと、図書館での文献資料との突き合わせ、ものやことのすべてを調査して検証をします。時には取材先からクレームを受けることもありましたが、取材過程においても学生はコミュニケーションスキルを高めたり、問題が起きた時の対処方法を学びます。

  • 取材風景
  • 中山参道

担当ページの原稿作成、写真の撮影や選定、デザイン、版組、編集、装丁などを全て学生の手で「やってみる」。一つ一つすべての工程においてが学生にとってのキャリア形成に繋がります。

  • 取材風景
  • 中山参道

住民の景観意識が向上!!

完成した冊子は、中山参道の店舗や市川市役所で配布されています。
この冊子を手に中山地区を訪れる人たちに魅力を伝えるだけではなく、2015年に完成した第3号では、この冊子を見て、商店街を訪れる方も増え、地域の方々にも自分が住むまちの魅力を再確認するものになっています。
さらに、この冊子を通じて、地元住民の景観意識を向上することに寄与したとして、第8回(2014年度)市川市景観賞を受賞しました。地域の良好な景観の形成に功績が認められ、まちづくりに貢献できたことを実感しています。

  • 『中山参道どっと混む』第3号
  • 市川市景観賞受賞

朽木ゼミの活動は新たに市川三丁目地域へ。

朽木ゼミが発行した情報誌は、市川市の他地区にも反響を呼び、2015年度春より、新たに、大学近くの市川市三丁目自治会と提携し、同地区の「お散歩マップ」制作に取り組み始めました。
市川市の登録有形文化財に指定されている日本福音ルーテル市川教会をはじめ、隠れた文化資産の多い地域の魅力をこれまでに培った現地調査の手法で探っています。
再発見した魅力をまとめた「お散歩マップ」は、10月17、18日に開催される街回遊展で配布します。
街を歩きながら地域の文化を知るイベントで、参加者が「行きたい!!」と思えるようなマップを提供できるように、取材や編集作業にもますます力が入っています。

朽木ゼミ

学生の声

若松雅樹さん

私は班のリーダーとして、制作進行のマネジメントを担当しました。雑誌作成もリーダーという立場も初めてのことで、スケジュールや班員のマネジメントが段取りよくできなかったことは反省点ですが、取材先の方々からいただく「がんばって」のエールを力に取り組んできました。この活動の楽しさは、仲間との一体感を得られることです。同じ目的に向かい共に行動する、チームワークの大切さを実感することができました。

政策情報学部 若松 雅樹さん(南葛飾高校出身)

高桑智夏さん

私の担当は取材に関すること。電話でのアポイントや取材先で初対面の方々と話すことはとても緊張しましたが、コミュニケーションのテクニックを学んだ「コラボレーション技法」の授業が役に立ちました。初めての雑誌制作は、できないこともたくさんありましたが、自分から動かなければ何も変わらないし、できるようになるにはそれ相応の準備が必要だということを感じました。以来、授業の予習にも取り組んでいます。

政策情報学部 高桑 智夏さん(東金高校出身)

担当教員の声

「中山参道どっと混む」の制作活動において、接する方々との円滑なコミュニケーションを図ること、問題が起きた時の臨機応変の対応力を身につけることも大きなポイントだと言えます。
私が学生に望むのは、社会に出る時に自慢できる唯一無二の経験を積むこと。この活動はメディアからの取材、景観賞の受賞など、目に見える形で評価を受けたことで、学生が自信を持って就職活動でアピールすることができています。

政策情報学部 教授 朽木 量

朽木 量 教授

卒業生はいま

『中山参道どっと混む』の制作に関わった卒業生たちの中には、デザイン会社に就職した人、勤務する会社で社内報の作成を担当している人などがいます。この活動で培ったスキルを仕事でも大いに発揮しています。

朽木ゼミナールとは

朽木ゼミナールは歴史・文化・自然景観・民俗(風俗習慣・日本の伝統文化)・地域社会に関心を持つ学生が集まっています。
2年生は地域文化のプロデュースをテーマに、大学周辺の地域で文化の痕跡をたどりながら、その多様性や独自性を理解し、外部へと発信する活動を行っています。3・4年生は、2年生で身につけた研究力で、それぞれの興味関心に基づき、現場に出向き、取材やデータ収集する「フィールドワーク」の技術を高めています。

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