2015.06.11 UP

母子たちの自主避難生活の課題を見出すボランティア活動

人間社会学部学生有志 『ままカフェ@千葉商科大学』

瑞穂会館の一室から漂うコーヒーの薫りと、聞こえてくる歓談の声。
ここで人間社会学部が3月7、8日の2日間、東日本大震災により首都圏に自主避難する母子たちの交流イベント「ままカフェ@千葉商科大学」を開催しました。社会福祉士として自主避難者の支援活動に取り組む同学部の勅使河原隆行准教授のもと、ソーシャルワークに関心を持つ6名の学生たちが「避難生活に今、求められる支援」を、このイベントから学びます。

今なお避難生活を送る人たちを元気づけたい

さまざまな社会の現場で今、何が求められているかを体感するため、ボランティアの実践を重視する人間社会学部。昨年12月、千葉市で行われた東北復興支援イベント「縁joy(ジョイ)東北2014」に参加した同学部の学生たちは、東日本大震災から4年が過ぎた今も多くの人たちが避難生活を送っていること知りました。避難先には知り合いもなく孤立してしまう人も少なくはありません。そこで、首都圏に避難する人たち、とくに子育て中の母親と子どもたちを元気づけたいという思いを強くしたことが、母子たちの支援活動を"やってみる"きっかけです。

  • 縁joy東北2014
  • 縁joy東北2014

母親たちに交流の場を

故郷から遠く離れた避難先での生活、子育ての悩みや不安を抱える母子たちのためにできることを考えていた勅使河原准教授と学生たちは、福島県各地で開催されている「ままカフェ」を知りました。「ままカフェ」は、ふくしま子ども支援センターが避難先から福島県に戻った母親たちの交流を目的に、県内各地で開催しているものです。これを、今も県外に避難する人たちを対象に千葉県内で開催する試みが「ままカフェ@千葉商科大学」です。

 

  • ままカフェ

 

避難生活の現状と課題を理解

2日間で60人が参加した「ままカフェ@千葉商科大学」では、参加者同士がゆっくり語り合い、交流を深めてもらえるように、学生たちがドリップコーヒーのサービスや、子どもたちの遊び相手となって一緒にお絵かきや消しゴムハンコ作りを行いました。この学生たちはともにソーシャルワークに関心を持ち、社会福祉士の資格取得や子どもに関わる仕事に就くことをめざしています。このイベントから避難生活の現状と課題の理解に努めました。
参加者からは「いろいろな話ができてよかった。同じ境遇にある者同士、気持ちを理解し合えて心が救われた」「他では言えない悩みも相談できた。親身なアドバイスのおかげで元気が出た」などの感想を聞くこともできました。

  • ままカフェ
  • ままカフェ

変化する支援の形を現場でとらえる

「ままカフェ@千葉商科大学」は好評のうちに終えることができました。ふくしま子ども支援センターからは「県外避難者のニーズに応える有意義なイベントだった」という感想をいただき、1回のイベントではなく定期的に開催していくことを考えています。
また、避難者支援のボランティア実践は、福島県内の仮設住宅での茶話会や清掃活動を行うなど、その幅を広げています。世代、生活の場所、そして、時間の経過と共に変わっていく必要な支援を現場でとらえ、その実現のために学びを深めるサイクルを続けていきます。

学生の声

新藤さん

「縁joy(ジョイ)東北2014」をきっかけに、避難生活に苦労している方々が多いことを知り、避難者を支援する活動があれば参加したいと思っていました。将来は社会福祉士の資格を取得し、子どもたちと関わる仕事につきたいと考えているので、「ままカフェ@千葉商科大学」で子どもたちと触れ合い、子育て世代の方々の話を聞くことができたのは、とてもいい経験になりました。このような支援活動に、今後も積極的に取り組んでいきたいです。

人間社会学部 新藤 俊也(市川工業高校出身)

藤田さん

東日本大震災は、当時、将来の目標を失っていた私が「もう一度しっかりと勉強しよう、大学に行って福祉を学ぼう」と考え直す出来事でした。そのため、人間社会学部で学び、避難者を支援するさまざまな活動に参加して、貴重な体験を積んでいます。
今回の「ままカフェ@千葉商科大学」を通じて、人と人が接することの大切さを学ぶことができました。この経験をこれからの活動につなげていきたいと思います。

人間社会学部 藤田 怜也(明聖高校出身)

担当教員の声

「ままカフェ@千葉商科大学」は参加者から大変好評をいただきました。次回の開催を期待する声も寄せられています。しかし、市川市内だけでも約230人ほどが避難していると聞いていますが、大学周辺に避難する方々の参加はほとんどありませんでした。告知の方法をしっかり考え、工夫をしていくことで、近くの人にも参加してもらえるようになることが、学生たちの次回の課題だと思います。

人間社会学部 准教授 勅使河原 隆行

勅使河原 隆行 准教授

ままカフェとは

「ままカフェ」は、避難先から戻ってきたママのために、久しぶりの福島での生活のこと、子どものこと、自身のことなど、いろいろな思いを安心して話せる場所。ふくしま子ども支援センターが、福島、いわき、白河、郡山、南相馬で定期的に開催しているイベントです。同センターは県内外を問わず、「それぞれの地で、安心して元気に子育て出来る環境づくり」を応援しています。