2015.08.17 UP

ブライダルファッションショーの企画・運営を通じて社会人力を養う

サービス創造学部『OUR WEDDING プロジェクト』

結婚しても挙式や披露宴はしない「ナシ婚」が増えています。挙式件数が婚姻件数の約半数という最近の日本の結婚式事情には、「費用が高そう」「資金がない」といった経済的理由や「セレモニー行為が嫌い」といった理由があります。
このような現状を打破するのは、若い世代が結婚式に憧れを抱き、結婚式を挙げる意味や価値を知ること。サービス創造学部のOUR WEDDING プロジェクトは、華やかな洗練されたウェディングドレスのファッションショーを開催し、結婚式の素晴らしさを伝える活動を行っています。

思い出作りから始まったブライダルファッションショー

今年で5回目を迎えたOUR WEDDING ブライダルファッションショー。始まりは2011年当時、ファッションビジネスを研究する井上義次教授のゼミナールの3年生(サービス創造学部1期生)が「学生時代に、思い出に残るイベントをやってみたい」というのがきっかけでした。
同ゼミ生たちは、少子化や婚姻率の低下が社会問題となる中で、同世代の若者が「結婚式を挙げたい」と思えるような感動を提供すべく、ブライダルファッションショーを企画・運営するプロジェクトを発足。以来、日本のブライダルシーンを牽引し、サービス創造学部の特命教授である桂由美氏がデザインしたドレスを用いたファッションショーを毎年開催しています。

  • ファッションショー
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2015年のショーは男性目線。男性にも結婚式への憧れを抱いてほしい!!

2015年のOUR WEDDING プロジェクトのメンバーは、井上教授が担当するサービス創造学部の授業科目「プロジェクト実践2A」の学生31名でした。
学生たちはブライダルの現状と課題を調査。結婚式やウェディングドレスに憧れる女性に対し、男性は「面倒」「目立ちたくない」といった理由から結婚式を挙げたくない人が多いことを知り、男性に結婚式の価値を訴求することを目的としたショーの開催を決定しました。プロポーズという男性の大きな決断とその先にある結婚式というストーリーを仕立て、シェークスピアの戯曲「夏の夜の夢」をモチーフに、光や音楽に力を入れたファンタジックな演出を企画しました。

  • オーディション
  • 会場設営
  • 装飾

華やかなショーの準備の裏側で、社会人として必要なスキルを身に付ける

プロジェクトは、リーダーを務めるサービス創造学部の宮本武さんを中心に、渉外、演出、広報、装飾の4つの班に分かれ、およそ6ヶ月に亘り取り組みました。渉外班はモデルのオーディションや外部との交渉などを行い、演出班はショーに使用する映像制作やステージの照明、モデルのウォーキング指導などを担当。ポスターやチラシ、SNSを活用した宣伝活動は広報班。装飾班はテーマに沿って会場内外をデザインし、素材の買い出しから飾り付けを行います。各班のサブリーダーが連携して情報共有を図り、リーダーはマネジメントとして全体の進捗と予算の管理、そして、メンバーはそれぞれの役割に徹して作業を進めました。
華やかなファッションショーの裏側は、外部との交渉、効率的な仕事の進め方、情報共有、内部のコミュニケーションなど、社会人として必要な多岐に亘るスキルを身に付けていく貴重な学びの場にもなっています。壁にぶつかっても、その課題を解決するのは学生たち自身。「自ら考え・行動し・完了させる」ことを目標に、プロジェクトの管理・運営の手法、問題に直面した時の解決プロセスを経験から学んでいきました。

  • 受付
  • 会場設営
  • 装飾

全力でやり遂げた達成感

こうして迎えたファッションショー当日。運営の中心となるプロジェクトメンバーの他、ショーに使用する映像は政策情報学部生の協力を得たり、モデル、メイク、舞台セットなどは他校からの協力も得て、学生の総力をあげたファッションショーが開幕しました。観客がショーを楽しむ会場のあちこちで、スタッフは一時も緊張の糸が途切れない時間が続き、ショーの進行を確認しながら、それぞれの役割を果たしました。
ショーの終盤には、半年に亘る準備の思い出や達成感で涙が溢れた学生たち。来場した男性の観客から「結婚式を前向きに考えたい」という言葉は、結婚式に憧れを抱いてもらうという目的の達成を実感できるものになりました。
プロジェクトを全力でやり遂げた経験、それぞれの役割の中で得た考え方やスキルは、これからさまざまな場面で活かされていきます。

  • プロジェクトメンバー
  • プロジェクトメンバー
  • ファッションショー

プロジェクトメンバー

学生の声

蟻田さん

2年生の時に見たこのブライダルファッションショーの感動を、他の人にも味わってもらいたいと思い、今年のプロジェクトの実践とリーダーを志願しました。リーダーの仕事で重要なのは、全体の進捗を把握し、関わる人たちをどのようにプロジェクトに巻き込んでいくかを考えながら行動すること。リーダーは振る舞いや発言のすべてに責任が伴い、人の上に立つことの大変さを知りました。
スケジュールの作成や話し合いの時には、「プロジェクトマネジメント入門」の授業で学んだことが役立ちましたが、実際にプロジェクトを経験してみると、どんな授業でも役立つことが必ずあると気づき、これまで以上に先生の言葉に耳を傾けるようになりました。

サービス創造学部 宮本 武(静岡商業高校出身)

平良さん

私は外部との窓口として連絡や交渉を行う渉外班の代表を務めました。衣装の運搬、モデルのヘアメイク、装飾に使用する布の縫製などを外部に依頼したほか、モデルのオーディションも行いました。自分のすべきことは交渉をスムーズに行うこと。そのためにどうすればいいかを「常に考えて動く」ことに注力し、その中で「行動を起こさなければ、それが成功か失敗かも分からない」という大きな気づきがありました。
プロジェクト活動は決して簡単なものではありませんが、仲間と共に切磋琢磨した日々は、かけがえのなものになりました。当日は、自分たちが選んだモデルがランウェイを歩いている姿に、感無量でした。

サービス創造学部 若菜 友里恵(市川昴高校出身)

担当教員の声

このプロジェクトがめざすのは、自ら考え・行動し・完了すること。社会に出てから経験するような環境を作り、苦しみ、悩みながらも、自分たちで課題を解決しなければ先に進まないという意識づけを行いました。「誰かが助けてくれる」「諦めてしまう」といった考えや意識をなくし、一致団結して目標に向かい作業する学生たちの姿はとても印象に残っています。この活動から得たスキルや考え方は、これからの生き方や人々との関わりの中で必ず活かされていきますが、生涯の大切な仲間を得たこともプロジェクトの大きな成果です。

サービス創造学部 教授 井上義次

井上 義次 教授

OUR WEDDING プロジェクトとは

学生たちがアイデアを出し合いながら新しいサービスを企画し、企業や教員を巻き込んで、企画の実現のために活動するサービス創造学部のオフィシャルプロジェクトの1つ。結婚式への憧れを抱いてもらうこと目的に、同学部特命教授の桂由美氏のドレスを用いた本格的なブライダルファッションショーの企画、運営を学生たちが手掛けています。