2016.02.24 UP

他大学との合同チームに活路を見出し、競技に挑む

千葉商科大学 ラグビー部

2015年、ワールドカップ(W杯)で日本代表チームの大躍進が話題を集めたラグビー競技。
千葉商科大学にもかつては部員も40人、関東大学リーグでの最高位は2部4位という成績を残したラグビー部があります。W杯が日本で開催される2019年に向けてラグビー人気は高まる一方ですが、現在の千葉商科大学ラグビー部員はなんと5人。競技人数の15人に満たず、公式戦を戦えない状況にいます。それでも広いグラウンドで楕円のボールを追い、練習に励む学生たちは、他大学との合同チームに競技を続ける活路を見出しています。

部員5人のラグビー部、試合ができないもどかしさ

本学を含む7大学が所属する関東大学リーグ6部。15人制で総当たりのリーグ戦が行われるはずの公式戦も、近年は部員数が不足する大学が相次ぎ、6部では7人制が導入されています。しかし、2015年度はその7人制でさえ、6部全体でわずか2試合が行われたのみとなり、僅か5人の本学ラグビー部は、全試合を棄権せざるを得ませんでした。
かつては華々しい活躍をした本学のラグビー部。その歴史と伝統は現在も受け継がれてきたものの、ここ数年、学生たちは試合をすることができない悔しさやもどかしさを抱えていました。

  • かつてのラグビー部
  • 現在のラグビー部

6大学で合同ラグビーチーム「グリフォンズ」を結成

このような状況の中、2014年、ラグビー部に転機が訪れました。 当時の主将、寺島拓哉さん(2015年3月サービス創造学部卒業)の発案で、本学と同じく6部に所属し、部員数が競技人数に満たない横浜商科大学、産業能率大学、明海大学の3校と、神田外語大学、東邦大学にも声をかけ、6大学のラグビー部からなる合同チームを結成しました。自分たちと同じ境遇の大学と力を合わせれば15人制の試合ができる。人数に満たないからと言って諦めず、練習を続けてきた学生たちは、その成果を発揮する場所を自ら切り拓いていきました。

この合同チームは「グリフォンズ」と名付けられ、2015年度は50人を超える仲間が集いました。グリフォンズを率いるのは、本学ラグビー部監督を務める体育センターの鷲谷浩輔助教。学生たちは普段、大学で行う練習を基本に、千葉県内の4校で合同練習を重ねながら、グリフォンズとしての合宿や全体練習で15人制のラグビー技術に磨きをかけています。

  • グリフォンズ
  • グリフォンズ
  • グリフォンズ
  • グリフォンズ
  • グリフォンズ

ラグビーが育む仲間と助け合う意識

部員のうち、高校でのラグビー経験者はたった1人。他の4名は大学に入ってラグビーを新たに始めた未経験者でした。ラグビーを基礎から学び、自分のポジションの役割を果たすための体力作りや技術向上に励む姿を見るたびに、監督の指導にも熱が入ります。
一方、グリフォンズでは15人制のフォーメーションで、各ポジションが連携したプレーを学び、仲間と助け合う意識が醸成されています。試合をするという1つの目的のために力を合わせようと集まった仲間との活動で、"One for All, All for One"の精神の大切さがよく分かると話すのは政策情報学部の工藤廣さん。部員の数など関係なく、日々の練習が仲間と挑む試合に活かされることを実感し、競技を続ける原動力になっています。
全体で集まる機会が少ない分、チーム内の連絡も密になり、競技以外の面でもコミュニケーションなど社会で役立つ力が自然と身に付いてきました。

  • 練習風景
  • 調理

大学単独チームで試合ができるその日まで

こうして、2015年度のグリフォンズは14試合を行いました。残念ながら、合同チームでの試合は公式の記録に残ることはありませんが、積み重ねた練習の成果を発揮できること、単独のチームでは成し得なかった試合ができる喜びを感じ、学生たちは皆、思い切りプレーすることができました。

グリフォンズとしてクラブチーム化することも可能ながら、彼らにとっては入学した大学名を背負い、グリフォンズに所属する各大学のラグビー部が関東大学リーグで戦えるようになることが目標です。合同チームの名前となったグリフォンは、鷲の上半身とライオンの下半身をもつ伝説上の生き物。違うものがひとつになっていることから名付けられたチームは、いつかその翼を広げ、各大学のチームに戻る日のために、自分たちの活動で一人でも多くの学生たちがラグビーを始めるきっかけとなることを願っています。

集合写真

学生の声

高橋 直之

大学では新しい部活を始めたいと思い、ラグビー部に入部しました。大学では己を高めるために練習し、グリフォンズはその成果を発揮する場所です。攻撃の際、フォーメーションの最も外側でパスを受け、トライを取りにいくWTB(ウィング)が自分のポジションなので、トライを決めた時は本当に嬉しかったです。自分より大きい人とのタックル練習は苦手でしたが、以前に比べ相手との衝突も怖くなくなってきました。今はグリフォンズでのレギュラー定着をめざしています。
新たな出会いと体験がたくさんあるラグビー部にぜひ入部してください。

商経学部経営学科 高橋 直之(帯広北高校出身)

林 尚輝

ラグビー部かアメフト部で迷っていたところ、先輩の勧誘でラグビー部を選びました。PR(プロップ)というポジションは最前列でスクラムを組み、低い姿勢で踏ん張らなくてはいけません。相手の力に負けない体を作るため、食べる量も増えました。相手をタックルで倒せた時にラグビーの楽しさを感じます。大学のラグビー部は人数が少ないけれど、手を抜かずに練習すれば、グリフォンズで集まった時にその成果が出ます。だからこそ、大学できちんと練習することが大切だと思っています。

商経学部経済学科 林 尚輝(千葉商科大学付属高校出身)

白井佑治

ラグビーを始めてから心も体も強くなりました。傷や筋肉痛は辛いですが、ラグビーの動きを覚え、体も大きくして、試合に出場する機会をもらえるようになりたいと思っています。ボールを持って相手に突進するLO(ロック)としての役割を果たすため、ボールを持って孤立しないこと、そして、ボールを持った仲間を孤立させないことを一番心がけています。他大学と合同で活動するグリフォンズでは、競技面だけでなく、連絡調整などの事務処理能力も身に付いています。

政策情報学部 白井 佑治(京葉高校出身)

教員の声

ラグビーを通じて、自分というボールをグラウンドいっぱいに転がし、どんな困難からも逃げずに勝負するという精神を身に付けること、一生の仲間を作ることが学生たちへの願いです。試合中にボールを持って突進できた、スクラムで相手を押すことができた、といった成功体験を重ねると、学生たちの目つきも変わりました。「自分にもできる」という自信や、もっと上手になりたいという向上心が彼らを突き動かしていると思います。合同チームでは公式戦を組めず、試合は全て練習試合です。それでも勝利にこだわり、試合前でも感極まって涙する姿を見ると、チームの形態など関係なく、それがラグビーだと気付かされました。これから更なる高みをめざし、チャレンジとハードワークの連続ですが、楽しむことを忘れずにいてほしいです。

体育センター 助教 鷲谷 浩輔

鷲谷浩輔