商学研究科の特色

戦略的な“知”の開発

今日、わが国のビジネスは大きな転換期にあります。グローバル化のもとでの競争の激化、社会・経済の構造的変化、未知のテクノロジーの衝撃、地球環境問題の尖鋭化が企業活動を根底から揺さぶっています。他方において、ビジネスそのものにおける理念と目的の混乱、組織疲労、起業の停滞といった基本問題が生じます。さらに非営利ビジネスの台頭によって、経済活動と社会活動の境界は不分明となり、ビジネスそのものの意味が大きく広がりました。
こうした時代に、ビジネスに求められるのは、旧来のような固定的、断片的な知識でもなく、目先の技法でもありません。これからのビジネスの意義と可能性についての透徹した認識のもとに、的確に問題を整理し、多元的な視点から効果的かつ現実的に解決していく戦略的視点の知の体系的な開発が求められるのです。
こうした意味で、商学研究科修士課程では、1977年の発足以来擁してきた商学、経営学、会計学の3分野体制を効果的に生かし、新時代ビジネスのための知の創出、教育のセンターとなることを志向しています。
この目的に沿うために、本研究科は、学問を戦略的な体系として開発しています。戦略的とは、ビジネスに限らず、およそ主体的立場に立つ時に、環境を広い視野のものに認識し、長期的な目的と成果の観点に立ってシステム的に対処しようとする意識と行動の形成の仕方です。
戦略的という言葉はこれまでも広く用いられてきましたが、それが現実のものとして具体化されるための知の体系は、わが国で未開拓であったことは、今日のわが国の諸問題の噴出によって明らかです。戦略的な知の形成に不可欠なことは、現実を多元的に解剖し再統合するという総合的なアプローチの開発です。本研究科の講義、演習は、それぞれにおいて戦略的アプローチ開発の試みであるとともに、商・経営・会計の諸領域を統合することによって新たな戦略的な知の創出を志向しています。

参加的な知の形成

本研究科は、戦略的な知の研究開発の場であることを通じて教育の場としての成果を実現しようとしています。ここでの教育とは、社会人として自らの組織の問題を解決しようとする立場であれ、起業や事業経営にあたる場合であれ、また研究者や専門的職業人として問題発見・問題解決的なこれからの学問を志す場合であれ、戦略的な学問の開発という場への主体的参加によって能力を形成することです。単に知識だけを求めるならば、静的で受動的プロセスによって吸収できるかもしれません。しかし戦略的“知”というものは動的で主体的な意識と行動のもとでの能動的プロセスによってのみ形成され具体化されるものです。
本研究科に学ぶことは、教授陣と学生がワークショップ的な密度の高い場で、協同して、わが国のビジネスの問題を解決するための新たな可能性を提案しようとする志向のもとに、知の創造を体験することに他なりません。