千葉商科大学「省エネ・創エネプロジェクト」

政策情報学部

2015年8月26日

本学の野田市にある旧野球練習場に出力2.45メガワットの太陽光発電が設置され稼働を始めたのは、2014年4月です。予測年間発電量は約280万kWhで、これは770世帯分の消費電力量に相当し、大学単体としては日本一の規模です。
さらにその発電量は大学の消費する総電力量の6割くらいある、と昨年6月に「エコ大学ランキング」を行っているNPO法人エコ・リーグに指摘されたことで、鮎川ゼミではこれを検証することにしました。そして、実際その発電予測量は2013年度の総電力消費量の62.7%に相当することを確認しました。全国の大学を見てきたエコ・リーグの見解としてもこの数字は画期的で、「日本でも100%自然エネルギーのエコキャンパスも夢ではない」と述べられました。

そこで鮎川ゼミではこの「100%自然エネルギーによるエコキャンパス」をめざすことにし、不足分の37%相当をどのようにして埋めるかを昨年の秋学期に検討しました。まず、市川キャンパス内の全ての建物の屋根と南面の壁面に太陽光パネルを設置したらどこまでいくかを、屋根の面積や南側の壁面の面積を実測し、その面積から発電量を割り出す計算式を用いて計算したところ、89%まで行くことがわかりました。結果、不足分は11%となり、この部分はキャンパス内での省エネルギーの可能性を探るという次の課題につながりました。ただしこの 「89%」は、「仮に」という学生による手仕事の実測値によるもので、太陽光パネルの図面を引いたりして実際に大学内の建物すべてにどのくらい載せられるかまでは検討していません。

2015年度の取り組み

実際2015年度に入り、改めて野田メガソーラーの2014年度の発電実績を調べたところ、336万kWh以上と、予測以上の発電を行っており、これは2014年度の学内電力消費量の77%に相当することがわかりました。これは実績値による計算であり、ここから、実際の不足分は23%であることが明らかになりました。

政策情報学部では、千葉商科大学の市川キャンパスを一つの地域として考え、「100%自然エネルギーによるエコキャンパス」を実現させ、キャンパス内でこの取組を進め、その結果を広く市川市へと広げて行くことを長期的目標とすることにしました。
野田メガソーラーがまかなう77%の残りの23%を、鮎川ゼミは省エネルギーと創エネルギーで、杉本ゼミはキャンパス内の樹木を吸収源ととらえて、どこまで賄えるかを調査することにしました。杉本ゼミの吸収量調査は春学期の活動で、キャンパス内には190本の大きな樹木があり、その幹の太さを実測し計算したところ、およそ「351トンCO2」の吸収量が見込める、という結果が出されました。これが「23%」分にどう貢献できるかは、今後の課題です。
省エネ・創エネに関しては専門家の技術的調査が必要と考え、鮎川が中心となり、省エネ・創エネを専門的に行っている学外機関とともに、そうした可能性調査を行うための経済産業省の補助金申請を行ない、6月にその補助金(1000万円程)の交付を獲得しました。申請者はサステナジー株式会社、テクノプランニング株式会社で、本学はその「賛同者」です。

「省エネ・創エネプロジェクト」とは何か

「省エネ・創エネ」による持続可能な社会(地域)の実現は、鮎川ゼミの今年度の研究テーマでもあります。学生には調査の実施主体とともに、学生のできる範囲での調査を行なうことで、既に照明の数などを数えています。学生に取っては、またとない実社会の調査を体験できる、アクティブ・ラーニングの機会です。

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(写真:学生が教室や廊下の照明を数えているところ、その結果を表にしたもの)

千葉商科大学における「ネット・ゼロ・エネルギー・キャンパス化」プロジェクト

本プロジェクトは、7月23日に第1回専門委員会を開催し、正式に発足しました。当日はエネルギーマネジメントの分野で活躍されている外部専門家4名+鮎川が専門委員として出席し、大学側からは島田学長、原科政策情報学部長、庶務課の担当職員が参加し、事務局としてサステナジー株式会社、株式会社テクノプランニングが取り仕切りました。オブザーバーとしてこれを卒論に書こうという鮎川ゼミの4年生、その他が参加しました。

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(写真撮影:鮎川ゼミ)

事業の概念図は以下のようなものであり、まず「無駄・過剰」の発見、次に「漏れ・温度むら・湿度等改善余地」の発見、それを「見える化」して一般学生・教職員への意識づけに繋げ、エネルギーマネジメントによりピークを下げてスマート化する、という手順になります。
会議後、専門委員の先生方と学内施設の見学を、庶務課の案内で行い、普段行かれないような冷暖房装置の管理室や、教室の実態を見たりしました。

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(写真撮影:鮎川ゼミ)

今後の計画

この事業の今後の予定としては、まず補助金交付にあたり条件とされた「最先端を行っている三重大学を参考にすること」を受け、鮎川ゼミが三重大学がどんなことをやっているか見学に行き、その中で千葉商科大学でも応用できるものがあるか、またはそこから新たなヒントを得て独自の取り組みができるか、などを調査してきます。

その上で、冷房実施時期の教室や廊下などで、エネルギーが無駄になっているところはないかを鮎川ゼミと原科ゼミで4チームを編成し、全員が全キャンパスの建物調査を行います。これには赤外線温度画像機、放射温度計、温度湿度計などの機器を用いての測定と、目で見てわかる無駄、例えば部屋に誰もいないのに冷房や照明の付けっぱなし、冷房が付けられているのにドアや窓が開けっぱなし、ドアや窓がきちんと閉められない個所などを探すことにしています。観察と同時に、複数の学生に「寒すぎるか」「暑すぎるか」「明るすぎないか」「暗すぎないか」等その場で、ヒアリングも行う予定です。そしてこれらをまとめ、自分たちが考えたことをまとめるのが、学生の仕事となります。
これは夏の暑い時期に行うのが適当ですが、教室が使われず、学生もあまりキャンパスにいない夏休みに入ってしまったこともあり、秋学期が始まる最初の週、9月24日~30日までに集中して行うことにしています。大学の冷房は9月末までだからです。
冬の時期には、暖房で同じことを調べる予定です。

こうした計測活動以外の取り組みとしては、一般学生にエネルギーの無駄に関して意識してもらうための普及啓発活動を行います。そのため、まずどのようなことをすれば、各学生の省エネ意識を高めることに繋げることができるか、どのような情報を共有すると効果的か、省エネ行動に学生を向けさせるには、どのような仕掛け、仕組み、施策が有効かを探ります。これは、アンケート調査方式と、フォーカスグループ方式を用いて行う予定です。
アンケート調査グループは、アンケート作成、配布、回収、集計と分析を行います。 フォーカスグループとは、一般学生に4-6人ほど集まってもらい、三重大学見学などの結果、ゼミ内で出されたアイディアについてどう思うか、議論しながら意見を出してもらうものです。どの企画が効果ありそうか、または企画の改善案のヒントをもらうことを目的とします。ゼミ内での討議をリードし、企画案を収集、フォーカスグループへの参加者を集め、討議を実施し、その結果の分析・考察などを行います。
この二つの作業には、かなりの準備が必要で、夏休み中にこの準備を行います。秋学期が始まったら、すぐにこれらを実施し、結果を11月中にまとめます。両方とも企業等でよくやっていることなので、これは事務局であるサステナジー等への学内インターンシップのようなものになります。

期待する成果

今回の調査の結果、学生からさまざまなアイディアが出され、無駄がたくさん発見され、100%再生可能エネルギーで本学の電力を賄うことが適正な費用で可能となれば、本学は、「エコキャンパス」を創ることができます。
秋学期の活動成果は、12月に毎年東京ビッグサイトで開かれる日本最大の環境展である「エコプロダクツ展2015」で発表する予定です。

昨年度の「エコプロダクツ展2014」の際、杉本ゼミと鮎川ゼミが共同出展を行い、それぞれのゼミの研究成果をパンフレットにまとめて配りました。そのパンフレット作成に、メディア情報系の楜沢ゼミの協力が得られ、「地域環境政策」の研究成果を「メディア情報」のツールを使って発信することができたので、実質的には3つのゼミの共同出展となりました。
本年も同じようにメディア情報系ゼミの協力をお願いし、原科ゼミと共に4つ以上のゼミの共同出展となることを期待しています。 今回の調査結果を踏まえ、エコキャンパスの実現性が明らかになるよう、切望しつつ取り組みます。

これをメディア情報のツールで大学内外へ発信し、「政策」と「情報」が分野を越えて一体として動く「政策情報学部」ならではの活動を実現したいと思います。 また「100%自然エネルギー・エコキャンパス」を実際に実現できるようになった場合には、来年度、改めて事業実施のための補助金を申請することなどを考えています。

文責:政策情報学部教授 鮎川ゆりか