公開シンポジウム「中小企業の成長と地域金融機関の融資 −事業性評価に基づく融資への中小企業の対応の在り方−」を開催しました

お知らせ

2017年12月23日

11月25日(土)図書館5階会議場に、本学ゆかりの産官の金融業界の新進精鋭、場内満席の130名をさらに超える参加者が集結し、実務に即戦力と成り得るヒントを「経済研究所 公開シンポジウム」にて、現場のリアルな事例から、地域のよさを活かすべく熱意をこめて検討を行いました。

開催趣旨

近年、供給面では国が主張する第四次産業革命とも言われるIoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの先端技術をあらゆる産業や社会生活での導入の必要性が急激に増大してきています。一方で、需要面では、少子高齢化による人口減少社会の加速による需要減少や、ネット・スマホなどのICTやシェアリングエコノミーの急速な普及などによる消費のあり方の大幅な変化への対応の必要性が急激に増大しています。この両面を結合し、多様化する社会課題を解決するためには、新たな需要の創出と生産性革命が不可欠として、国はSociety5.0の実現を主張しています。2016年版中小企業白書によると、無借金企業の割合が増加しているが、適度な借入れのある企業の方が収益力があり、成長投資を行うために必要な資金供給元は依然として金融機関であるとしています。低金利や物価上昇の停滞が続く現在、地域金融機関は、従来の担保や個人保証に過度に依存しない融資、即ち、事業性評価に基づく融資の拡大とともに、他の支援機関と連携した経営支援機能の強化も求められています。このような地域金融機関の姿勢の変化に対応し、成長投資のための資金調達を行う中小企業も事業計画や知的資産などの情報開示が必須です。

本シンポジウムでは、中小企業の成長資金の調達をテーマとし、地域金融機関の事業性評価に基づく融資への効果的な対応策を探りました。基調報告においては、国が地域金融機関に求める事業性評価による融資とは如何なるものか、資金供給側である地域金融機関と調達側である中小企業の両者に期待する対応のあり方について確認しました。事例報告においては、地域金融機関における事業性評価を可能ならしめるための課題について、中小企業支援者の立場から事例を通じて確認しました。また、第二部においては、地域金融機関の先進的事例や中小企業の資金調達事例を通じて、事業性評価に基づく融資に対する中小企業の対応のあり方について考察しました。

第一部

山本恭裕氏(千葉商科大学商経学部教授)による総合司会で、事業性評価の在り方に関する産官学による模索が開始されました。 橋本隆子氏(千葉商科大学経済研究所長、商経学部教授)から「事業性評価という中小企業にとって、ホットなトピックを」議論するための概要解説が行われました。 原科幸彦氏(千葉商科大学学長)はビデオレターで、「事業実施による効果とともに、様々な影響」インパクトを「事前に評価し、それらを総合的に判断することが必要」と事業性評価の重要性を強調しました。

基調講演

日下智晴氏(金融庁監督局銀行第二課地域金融機関等モニタリング室長)は「もともと事業のリスクをとっている」「中小企業がリスクテイクの主体である」との前提のもと「短期継続融資を継続していた段階」などで「メインバンクとの話し合いを行うこと」などの「中小企業と金融のミクロの局面における課題」について論じられました。村山賢誌氏(千葉商科大学経済研究所客員研究員、中小企業診断士)からは、事業性評価が困難な事例報告をもとに、問題提起が行われました。

第二部

斎藤壽彦氏(千葉商科大学名誉教授)がモデレーターを務め、「従来の金融が、担保、保証、あるいは財務データに過度に依存してきたという点を改めようということで事業性評価が重視されている」という背景のもと、「質的な情報」である「事業の内容や成長可能性を適切に評価するための」「金融機関が目利き能力を発揮する」ための塔楼を実施しました。パネルでは、基調講演の日下氏と、事例報告の村山氏に加え、次の通り報告がありました。

髙橋一朗氏(西武信用金庫常勤理事、法人推進部長)は「事業コーディネート担当」の「中小企業の相談」担当職員の事例を紹介し、榎本剛士氏(中小企業基盤整備機構ベンチャープラザ船橋、チーフインキュベーションマネージャー)は「新製品開発の資金調達について」LLP組成の事例を紹介しました。三井福次郎氏(三福工業株式会社代表取締役会長)は「五代目」として金融機関の変化とともに、資金調達の方法の変遷について、具体的事例を用いて紹介しました。林英夫氏(武州工業株式会社代表取締役、TAMA産業活性化協会副会長)は日本のものづくりの現場での「バックヤードの生産性が低い」という課題をクラウドによってシステム化された「共通EDIプラットホーム」で解決した事例を紹介しました。

鈴木直志氏(千葉商科大学経済研究所 中小企業研究・支援機構長、商経学部准教授)は、金融機関の「目利きによって、構造転換した事業として、今もある地域の中核企業として、雇用を守って、生き残って」いる事例を挙げました。本シンポジウムでの「事業性評価について得られた知見を、ぜひ、みなさんそれぞれの場所で」「ご活用いただければ」と総括しました。

公開シンポジウム公開シンポジウム

※補足情報
質問時間にはフロアーから6件を超える挙手があり、実務者による質問が相次ぎ白熱しました。
本学「The University Dining」へと激論の場を移し、ビュッフェスタイル懇親会にて、行政、産業界を中心とした実務者にご参加いただき、引き続き、実務の観点から、本シンポジウムで共有した共通の認識と各自の課題等を、営業時間後まで検討し合いました。
アンケートは、96名回答と、回収率71%でした。自由回答欄では、自身の実務等に「参考になった」との記述が19件あり、本シンポジウム全体に対する選択式(3択)満足度調査では、「満足」を選択した回答者は73名でした。
今後も、本学経済研究所は、高度にシステム化されつつある、最先端の経済活動の動向を予測しつつ、地域活動や中小企業活動を応援する産学官連携を牽引し、社会の方向性を示す司令塔として、あるべき経済活動の在り方を模索し、最適化するためのリアルタイム情報を提供します。

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