消費スタイルの新潮流:倫理的消費とボランタリー・シンプリシティ

研究目的

本研究の目的は、倫理的消費とボランタリー・シンプリシティという二つの概念から日本社会における新しい消費スタイルを検討することにある。

倫理的消費とは、消費を通じて社会的課題の解決を図る消費スタイルを意味する。東日本大震災以降、倫理的消費は日本社会で普及し始めている。災害があった後に消費を通じて被災地を支援する「応援消費」が盛んに行われるようになったのは日本独自の倫理的消費のスタイルとなりつつある。また近年はイオンや無印良品など大手量販店もフェアトレード商品やオーガニック商品を数多く品揃えするようになっている。このような変化を受けて、消費者庁は2015年に「「倫理的消費」調査研究会」を設け、日本での倫理的消費の普及を推進している。

その一方、ボランタリー・シンプリシティとは、特定の商品やサービスの消費を避けたり、総消費量を減らすための努力をしたりする消費スタイルである。特に最近は、「ミニマリスト」という最低限の持ち物で生活をする人たちのライフスタイルに注目が集まっている。

このような二つの消費スタイルは、欧米での先行研究では重複する部分があると指摘されているものの、これら概念が日本の消費社会でどのように理解できるのかはまだ十分な検討の余地がある。すでに日本は世界の中でも成熟した消費社会にある。モノに溢れた生活を送っている日本の消費者が価格や品質だけでなく、社会的課題の解決を商品選択の一つの基準に組み込み、モノを少なくして生活を充実させるという新たな消費スタイルがいかに日本の消費者に理解されているのかを本研究では検討する。

特に本研究では、このような日本で台頭しつつある二つの新たな消費スタイルの検討を通じて、日本の消費社会の方向性を考察する。具体的には、初年度は良品計画によってコーズ・ブランディングされたハンドメイド製品を用いて、社会的課題の解決につながるソーシャル・プロダクトを購入する消費者の意思決定要因を明らかにする。次年度は良品計画の調査協力を得て、敢えて消費を避けたり、減らしたりする要因を検討する。これら研究は、先行研究の検討を通じて分析枠組みを構築し、アンケート調査やインタビュー調査を通じて実証的に検討する。二つの研究共に、本学の学生と一般消費者に対して調査を行う。それを通じて、環境保全の教育を子どもの頃から受けてきた世代と、そういった教育をそれ程受けてこなかった世代との比較も可能となる。

研究員

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