RSS中小企業支援研究創刊号
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XECUTIVE 大型量販店出店に際し、粗利35%への挑戦前田 本日はお忙しい中、千葉商科大学経済研究所にご協力いただきありがとうございます。早速ですが、御社の転機となった頃の状況をお伺いします。山口 この店にしたのは35年位前です。今から17、18年前にノジマ、コジマ、ヤマダ、サトー無線2店舗、それにヨドバシカメラといった量販店が次々に商圏内に出てきました。現在は、ノジマ、コジマ、ヨドバシカメラで、当時の半分になりました。前田 全国の中小企業の皆様が苦戦していますが、とりわけ家電業界は厳しいと思います。量販店の激しい当地の競争下で御社は生き残られてきました。小さくても強い会社があるべきと思いますが、その魅力をどう作っていくかの工夫をお聞きしたい。山口 大型量販店はヤマグチの商圏内に6店舗も出店してきました。これへの対策としてまず、最初に商圏を狭め3万世帯以上の登録顧客を、方針に合わせて優良顧客のみ3分の1に減らしました。更に売上高中心の計画を止め、利益重視にし、月次決算、日次決算に切り替えました。日々の利益の状況を把握し、粗利額と粗利率計画体制に直しました。掛け販売も止め、現金売りかクレジット販売にした、これが大きいです。前田 それ以前は貸し倒れはありましたか。山口 ありました。今は、クレジット会社で審査に通らないと売りません。昔は伝票切って商品を届けていれば売れた気になっていましたが、今は掛けがないので、貸倒引当金という言葉も死語になりました。このように、いろいろと手を打ち社内体制は整ったなと考えましたが、売上は30%位は落ちると予想していました。粗利率は量販店が15%、我々は26%。売上30%落ちたら、「いい電気屋さんだったけれど惜しかったね」で終わります。ですから 粗利率35%に挑戦したわけです。前田 それは大変な決断でしたね。山口 ですがこれはすぐには出来ません。そこで、10年計画を組みました。売上がじわじわ落ちる、これが怖い。しかし、結論を申しますと12年目に売上は22%減少に留まり、粗利率は7年目で34.7%、8年目では35%を超えました。機関誌『中小企業支援研究』の創刊を記念し、東京・町田市、大手家電量販店の進出にもゆるがず、地域に密着したサービスで高い利益率を確保している創業48年の老舗家電店、「でんかのヤマグチ」にお伺いし、山口勉社長に独自の販売戦略や経営の魅力についてお伺いしました。経営者インタビュー【 2.株式会社ヤマグチ】社長プロフィール山口勉(やまぐち つとむ)、1942年東京都町田市生まれ、1965年松下通信工業(現パナソニック)退職、電器店で修業の後、東京都町田市に「でんかのヤマグチ」をオープンし、現在に至る。26中小企業支援研究お客様へ究極のサービスを売る

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