RSS中小企業支援研究創刊号
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XECUTIVE 山口 パナソニックの家電専門店ということになりますが、電気製品だけでなく住まいのリフォームもやっていますし。一言でいうと、お客様の生活と住まいそっくりを見守らせてください、電気製品、お住まいの修理からリフォームということになる。前田 そうすると、家電にかかわる周りのサービスをすべて行っている専門店と言った方がいいんでしょうね。もっと言うとお客様とのリレーションとか、関係性を重視するというか。このサービスという言葉が納得しやすい言葉でしょうか。山口 そういうことだと思いますね。お客様の生活レベルの困り事もお手伝いしながら、住まいのことから、電気製品まで任せていただく。前田 お客さんが求めるのは製品ニーズではなく、サービス。製品を売っていますが、例えば取付けとか。夏はエアコン欲しいけれど、それは製品自体が欲しいのではなく暑いからなんとかしたいのです。つまり困りごとが中核になっていて、そこをヤマグチが発見した。化粧品の場合でも女性は別に化粧品を買いたいのではなくて、綺麗になりたい。製品の中核を捉えると、こういう紫外線よけがいいとか、そうなるんですよね。昔「滝沢」っていう喫茶店があって、コーヒー1杯1,000円でした。あの店もそうですね。山口 そうですね。飲み物だけだったら1,000円もしない。 200円~300円でいい。前田 一人のお客様が生涯を通じて企業にもたらす価値、Customer Lifetime Value、つまり顧客生涯価値という言葉が話題になりました。御社も「お客様とのおつきあいは一生涯」とおっしゃっていますね。山口 最近のことですが、奥さんが買い物がてら遊びに行った、出先で家の中のこたつのスイッチ入れっぱなしのことを思い出し、当社の営業の加藤に電話があって、「鍵がなくても入れるから、悪いけど炬燵のスイッチ切ってよ」、なんてこともありました。前田 そんなことまでですか。普段からそういう人間関係ができているということですね。山口 普段からお客様が頼みやすくすることが大切ですね。それを営業社員だけでやるのではない。営業は当たり前だけど、工事、修理、配送の各担当者も、みんなお客さんの所へ行って気付いたら、すぐに動く。玄関の靴がバラバラになっていれば直す、テレビ画面が汚れていたら拭いてくる。そうすると、ヤマグチさんの社員はいつもやってってくれるね、とこうなる。社員は値切られないから頼まれたくてしょうがなくなるし、お客さんも頼みやすい。そして買ったときにうちの値段で買ってもらえる。その結果、粗利率が40%近くまでなった。大切なのは粗利の額と率は車の両輪ですから一緒に達成しなきゃダメなんですね。安売りだって粗利額を確保できますから。前田 簡単ではないですが、社員の皆さんも数字を気にしているだけではやれないことですね。山口 特別に優秀じゃなくてもお客さんみんなにやってあげればいい。高齢化が進んできていますから。今デパートだってコンビニだってなんだってお年寄りに焦点を合わせてなにがしかやってるじゃないですか。前田 新聞でも、百貨店が70歳以上をターゲットにと書いてありましたが、高齢のお客様こそそういう関係づくりが大切ですね。毎月、新規顧客も増加山口 お客様の平均年齢は64歳です。時々若い方も来られます。忙しい人なんかは年中あちこちの安売りなんかは見ていられない。マスコミの取材もNHKからテレビ東京まで放映されましたので、ヤマグチは高いって言うことをご存知です。でも去年の4月から今年の3月の1年間で新しいお客さんが877世帯、月平均73世帯増え、今年も4月から11月迄で748世帯、月にすると93世帯増えています。前田 新しいお客様が増えているんですね。商圏はどの範囲でしょうか。山口 うちは町田市で商売させてもらっていますので町田市のお客さんは少々遠かろうが行くことにしています。あまり遠くは難しいので旧相模原市と町田市を商圏にしています。テレビで紹介されると電話が来ますが、商圏から外れるので遠くは全部お断りします。お近くのパナソニックの電気屋さんはヤマグチと同じことをやっていますよ、と。28中小企業支援研究

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