RSS中小企業支援研究創刊号
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4中小企業支援研究千葉商科大学の中小企業診断士養成コースは、平成22年3月に大学院修士課程の商学研究科、経済学研究科、政策情報学研究科の3つの研究科が合同で、「働きながら学び、国家資格と修士号の取得」をめざす学生のために設立しました。わが国の中小企業は日本経済の根幹を形成する重要な位置にあります。中小企業数は、企業全体の99.7%を占め、従業員数では全企業の70%に及びます。推計420万社の中小企業の健全化・成長発展なくして、わが国経済は成り立ちません。但し中小企業は、多くの課題を抱えていることも事実です。事業承継の問題、規模による大企業との収益の格差問題、過小資本の問題、円安による原材料のコストアップ問題など、大きく捉えれば経営基盤や経営体質の脆弱性の問題が、厳然として中小企業の成長発展の前に立ちはだかっています。活力のある中小企業をさらに強化し、業績に陰りのある中小企業を活性化し、元気にさせる中小企業診断士を養成することが、本学中小企業診断士養成コースの使命と考えます。そのためには、経済研究所との連携プレーが是非とも必要です。中小企業にかかわる諸課題を診断することで再建策をみいだし、それをデータとして蓄積し、体系化する。大企業の経営管理については、当該文献をはじめ膨大なデータと理論的蓄積があります。しかし、わが国企業数全体の99%以上を占める中小企業の実践的な経営管理情報の蓄積とその理論体系については、いまだ充分とはいえません。経済研究所と中小企業診断養成コースが結びつくことで、実践と学術を融合した真の「実学」をめざすことができます。経済研究所より発刊する『中小企業支援研究』は、本学の中小企業研究にかかわる教員・研究員ならびに本学の養成コースから巣立った中小企業診断士の皆さんが、実践的な経営診断から学んだ経営管理の強化策や再建策を実務経験だけに留めず、その実践的経験を整理・体系化し、中小企業の経営管理論として情報を蓄積する場と考えます。本学経済研究所が『中小企業支援研究』を通じて、わが国民間での中小企業の経営管理センターとしての役割を果たすとともに、わが国で中小企業診断士養成に必要な学術的な場を提供する中心的な存在になりますことを願ってやみません。経済研究所『中小企業支援研究』発刊に寄せて千葉商科大学 中小企業診断士養成コース運営委員長商経学部教授太田 三郎

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