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XECUTIVE 大角 驚きました。私が真似をしたことになりますから、弁護士さんに頼んで、資料を基に私が最初に作ったことを証明してもらいました。前田 資料があったのですね。大角 残っていた資料で昭和60年2月6日に完成したことが証明できました。虎屋さんの虎屋文庫にもその記録がありましたので、十数軒のお店に手紙を出して謝罪文をいただきました。当社が「元祖」であると認められれば、作っていただくのは構わないと思っていました。前田 大変な経験でしたね。それだけ魅力的で劇的に売れたということですね。大角 その年に、日本菓子協会の東和会から、全国の和菓子の売上が3割増になったことに貢献したと表彰していただきました。新宿の中村屋さんが「缶入り水ようかん」の開発で最初に表彰され、翌年私どもが表彰されましたのでうれしかったですね。前田 すごいことでしたね。和菓子業界以外にも影響がありましたか。大角 売れると材料も売れるので、材料屋さんが紹介してくれたことも評判が高まる理由になったと思います。材料屋さんとも共存共栄です。狭い世界ですから。時代の変化と経営の基本前田 御社には、いちご大福以外にもたくさんの人気商品が生まれています。この事業を承継する後継者さんはいらっしゃいますか。大角 はい。長男が工場、販売は長女が手伝ってくれています。前田 本店は地下1階と5階建てのビルになっていますが、工場はどこにあるのですか。大角 地下1階が工場になっています。いちご大福ビルと呼ぶ人もいます。前田 いちご大福で人気が出ましたからね。しかし、急激な成長でしたね。大角 引き継いだ当時は、1日3千円の売上の時もありましたが、50万円、100万円と伸び、今では100万円を超える日もあります。前田 しかし、長い経営人生ですからその後もいろいろなことに出会われたでしょうね。大角 日本の文化が変わってきている影響が一番大きな変化です。七五三のお祝いも内々になり、お祝いの和菓子の需要も少なくなりました。今年などは代わりに西洋のハロウィンのような祭りがにぎわっています。林 近くに配る習慣も少なくなりましたね。前田 モノ作りはお客様の生活に関わっていく商売ですから、お客様のライフスタイルを変える変化に敏感でなければなりませんね。まさに大福を洋風化した時のように。大角 そうですね。現代は日本の行事がなくなっていくような感じです。生活の文化が変わっているのでしょうね。行事のたびにお祝いモノを15から30個近所や親戚、知人に配っていたような習慣はなくなってきました。節句の時などは、夜寝ないで勝負をしていた感じで準備をしたものです。昔は祝日なども飛び石の休みでしたが、今は連休になることが以前より多くなったことも、行事が薄らいでいくのに影響しているかもしれません。前田 世の中の慣習も変わってきていますから、そのようないわゆるお客様の変化、市場の変化に対応する工夫は何かなされていますか。大角 行事、季節で売れないとすれば、日常で売らねばならないと思っています。インターネットでも物を売れる時代ですから、どこの店にもチャンスがあります。好立地にあるだけでなく、魅力のある商品を出していって、そこへ行かないと買えない商品を出すことが重要と思っています。店売りが主体ですが、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにない商品づくりが重要です。前田 大量生産された商品とか量販店では手に入ら“一番の楽しみはお客さんに喜んでもらうこと”と語る大角取締役20中小企業支援研究

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