RSS3
23/66

INTERVIEWない商品ですね。お店に入ると店内にはそのような商品がたくさん並んでいます。一目見ただけではわかりにくいですが、一部をご紹介ください。大角 おぐら饅頭、バナナ饅頭、ブランデー入りのどら焼き、いちごの羊羹、和風モンブランなどの商品があります。前田 女性に配慮したような、餡を少なくしたおしゃれなデザインの商品もありましたね。林 店頭にあった平べったいウサギの商品もかわいかったですね。大角 酵素や、酒粕、オリーブオイルを使った商品も開発中で、お客様からオファーされる商品もあります。また、商品の良し悪しはお客さんでは簡単にわかりませんので材料などの工夫をできるだけ伝えるようにしています。日持ちや色についての希望もありますので難しいです。アパレル関係の会社から蜘蛛のデザインの商品のオファーがありました。日持ちや色に工夫しました。焼き菓子で色出しをして作らせていただきました。中国のお客様へのお土産を依頼され、長寿を意味する桃で作ってほしいというご希望でした。色もはっきりしたものにしました。また、結婚式で新郎新婦の似顔絵のどら焼きをお作りしたりしました。似てないといわれたりしますし、難しいです。林 ありきたりでなく、オリジナルが欲しいのですね。前田 これまで、本当にご多忙だったと思いますが、今後の方針についても伺いたいと思います。どのような経営を目指していかれますか。大角 店舗も直営を5店(本店、銀座、四谷、柳町、高円寺)出店し、最高時には3億、4億円ほどの規模になりました。当時は店に顧客が混雑し、販売員さんがショーケースから見るとお客様の足しか見えないというほどでした。しかし作り置きでなく、6時にスタートして10時に納品するといった手作りでは限界もありますから、現在は3店舗にし、お役所、銀行などへの外販と4つの百貨店で販売させてもらっています。人の問題もありますので、取り扱いや生産を増やさないつもりです。朝6時にスタートして10時の納品を守って、新鮮なものを志向するお客様にお応えしていきたいと思っています。前田 成長過程で技術的に革新され、そして経営的に革新されたことも多くあると思いますが、そのようなこともお伺いできますか。大角 世の中では便利の需要に応えるために多くの既製品ができました。だからこそ、新鮮なモノ、私どもの商品では生モノが売れる時代であると思います。前田 つまり、拡大主義だけの時代から、品質主義、顧客主義を大事にする時代が来ているということですか。大角 そういう基本的なことを大事にしていくべきと思います。次世代経営者への期待 前田 社長の時代と今の若い方の違いはどのようなところですか。大角 うちの製造スタッフはお菓子屋さんの息子さんが多いのです。私たちの頃は店で修業し、何としても主人から技術だけでなく、商いの考え方、ノウハウや人間としてのあり方を盗むように学んできました。今の人は、和菓子学校で2年間学んで店に勤めに来る人が多くなりましたが、復習する人は少なくなっているような気がいたします。このままでは技術を覚えてもいかに売るかというノウハウを学ぶことは難しいと思います。前田 つまり、技術の継承だけでなく販売の方法、経営の方法などのすべてを学ばないと会社を大きくするどころか一店舗の店も存続していくことが難しくなるということですね。大角 そうです。成長意欲を持った人が少なくなり、店を伸ばす気が少ないように思います。大都会で勉強しても地元に帰って商売を継ぐとなるとモノ作りだけでなく多様なノウハウが必要です。前田 お客様のこと、地域のことを十分に理解し、柔軟に対応する能力がなければ地域社会で経営をしていくことはむずかしいですからね大角 そうですね。私たちのころは店で修業しながら、何としても親方から技術だけでなく、商いの心得を見て盗んだものです。今は、そのようなノウハ21中小企業支援研究 Vol.3

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 23

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です