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もあり、想定通りには進んでいないようだ(中小企業庁:「起業・転業、再生・事業引継ぎ」2011年7月)。また、事業売買仲介業者からは「事業承継を相談する企業は業績不振に陥っている企業が多く、すべてが事業承継できるものではない」との指摘もある。国は、開業率を欧米並みの10%に引き上げることを成長戦略の一つに掲げるが、円滑な事業承継と開業率上昇を実現するには、税制面や経営支援策などトータルな政策と速やかな実行が求められている。問われる事業性評価に基づく企業価値これまで中小企業が直面する課題を列記した。いずれも課題克服には、平時にあっても自立していける「強靭な経営」が必要になっている。こうしたなか、今後最も重視されるのは商品の市場性、企業の成長性などの「事業性評価」に基づく企業価値の算定である。2016年3月末で金融円滑化法が終了してから丸3年を過ぎる。これに伴い、一定条件を満たす中小企業は金融円滑化法の終了後、3年間は条件変更の継続が許容される「暫定リスケ」のデッドラインを迎える。金融円滑化法の出口戦略として、2013年3月の副大臣会議で金融モニタリング体制が確認された。こうして各監督官庁は金融機関の動向に厳しく目を光らせているが、ここにきて事業性評価のガイドラインの形成が大きなテーマに浮上してきた。金融機関は目利き力の強化が今後を左右することになる。同時に、財務状況より将来的な企業価値に重きを置く視点の導入は、中小企業対策がこれまでの止血による延命治療から成長戦略に沿った新たなステージに歩を進めることを意味している。まさに国はリーマン・ショックからの中小企業政策を守りから攻めに本格的に舵を切ろうとしている。2016年は中小企業にもビジネスモデルの選別、淘汰が待ち受けている。これまで以上に中小企業は付加価値を高めて、将来に向けて成長できるかどうかを否応なしに問われることになる。050100150200250(兆円)負債総額歴代1位2000年23.8兆円歴代3位1997年歴代2位2001年010020005,00010,00015,00020,00025,000'90'91'92'93'94'95'96'97'98'99'00'01'02'03'04'05'06'07'08'09'10'11'12'13'14'15(円)(件)(年)歴代4位2002年歴代2位2001年歴代5位1998年円相場(ドル)倒産件数欧州危機アベノミクス景気バブル景気第一次平成不況第二次平成不況第三次平成不況IT景気カンフル景気戦後最長の景気拡大期間世界同時不況全国企業倒産推移出所:東京商工リサーチ31中小企業支援研究 Vol.3

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