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千葉商科大学商経学部 専任講師調査報告はじめに近年、さまざまな地方において「地方創生」が叫ばれている。「地方創生」とは、魅力ある地方の在り方を目指し、それぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会をかたちづくること、いわば地域活性化であり、その一環として行われている方策には「ふるさと納税1」などがある。このような「地方創生」が求められる背景の一つとして、地方の人口減少が挙げられる。地方の人口減少は長く社会問題化しており、日本創成会議・人口減少問題検討分科会の推計では、2040年までに896市町村が消滅する恐れがあるとされている。「ふるさと納税」が多くの地方で実施されている理由には、人口減少による税収減で財政が逼迫している地方に対して大きく貢献していることが、少なからず関係している。地域活性化のため本学と総合活性化調査事業を行ってきた勝浦市だが、実はこの896市町村の中に含まれている。勝浦市公式ホームページにて公開されている統計によると、データが掲載されている平成20年以降、総人口が減少傾向であることがわかる(図表1参照)。この勝浦市において商業教育を通じて地域を活性化させることはできないかと、学生とともに約2年間さまざまな取り組みを行ってきた。本稿では、これまでの取り組みの総括を行うとともに、地域活性化における商業教育の課題について述べる。1.商業教育における地域活性化の現状平成25年より高等学校学習指導要領が改訂となり、高校生に対する新しい教育内容が取り組まれている。商業教育を学ぶ教科商業科がある高校(商業高校など)では、商業科の科目数が17科目から20科目へと増加し、これまでの教育より専門性の高い内容を学ばせることになっている。このように教育内容が変化した理由の一つとしては、文部科学省中央商業教育と地域活性化勝浦市との協働を通して近藤 真唯1 個人が2,000円を超える寄附を行ったときに住民税のおよそ2割程度が還付、控除される制度図表1 千葉県及び勝浦市の総人口の変化(平成20年を基準)32中小企業支援研究

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