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方向性など具体的な活性化策を検討した。ここでは年代や立場が異なる人たちが意見を交換させたことにより、さまざまなアイディアが生まれ、実際に勝浦市へ提案するに至ったものもあった。(3)インターネット動画の提案情報通信技術の発達により、YouTubeなどインターネット動画が一般化し、誰でもどこでも視聴できるようになった。そこで、勝浦市マスコットキャラクターである勝浦カッピーを題材とした映像を制作することを提案した。具体的には、他地域キャラクターとのコラボレーションや勝浦市名所を活用した案を示した。(4)勝浦朝市活性化策の提案及び実践日本三大朝市の一つである勝浦朝市を活性化させるための提案及び実践を行った。具体的には、商品をわかりやすく紹介するためのホワイトボードを使ったポップ広告、各店舗名を顧客に伝えるための店舗カードなどを制作し、実際に店頭に配置した。(5)勝浦市名所等への誘導方法の提案勝浦朝市や各名所への順路など誘導するための方法について提案した。具体的には、電柱などへの看板デザインや道路への順路等の塗装デザインなどを示した。(6)勝浦市観光アプリに関するアンケート調査勝浦市が制作した勝浦市観光アプリについて、スマートフォンにインストールした学生に対してアンケート調査を行った。日常的にさまざまなアプリを使用している学生目線から、観光アプリの使用感や改善すべき点などについて意見を収集した。3.地域活性化における商業教育の課題勝浦市での活動において商業教育の立場から提案・実践することで、大学生たちは多くを学び、成長した。しかしながら、地域活性化においてはさまざまな課題が存在する。ここでは主な3つについて取り上げる。(1)商業教育を学ぶ学生数本稿では商業高校を例に進めてきたが、少子化の影響もあり、全国的に商業教育を学ぶ学生は年々減少傾向にある。このように地域産業を担う人材が減少することは、地域活性化にとって大きなマイナス要因となる。特に勝浦市の場合は、市内唯一の高校が統廃合によりいすみ市に移転するなど、将来的に学生が勝浦市外に転出する素地ができつつある。これを食い止めるためには、今回学生たちが行った取り組みを通して小・中学生など低年齢から商業や地域について教育を受けさせ、その地域に残る選択肢を作ることが必要である。(2)商業教育を指導する教師数学生数が減少すれば、学校教育システム上、おのずと教師数も減少することになる。「教育は人なり」という言葉があるように、教育は人つまり教師によって大きく左右されるため、商業教育を指導する教師の不足は大きな問題である。しかし、ここでいう教師は教員免許を持つ教員という意味だけでなく、地域の教育力という観点で考えた場合、地域で子どもたちを導く大人と考えるのがよいだろう。朝市、商店街等を運営している大人たちが教師役として子どもたちを指導することにより、商業の重要性が具体性を持って伝わるだけでなく、地域の特色等も伝わり、より効果的な商業教育が実践できると考える。(3)中長期的視点にたった商業教育への理解教育に関するものの多くは、その効果を発揮するまでに時間を要する。商業教育も同様で、身近である実社会の仕組みについて学ぶ教育内容ではあるが、やはりそれを理解するには時間が必要となる。今回大学生たちが成長していると実感できているのは、学生たちが勝浦市地域活性化に年単位の時間を費やしてきたからである。短期ではなく中長期的視点からその効果をはかることが今後重要である。35中小企業支援研究 Vol.3

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