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の所得の内訳としては、給与収入以外の所得源泉を持つ者では(2)、年金収入(雑所得)を得ている高齢者世帯と不動産収入など副収入のある高所得世帯の対照的な世帯が多いことなどが認められた(図2)。いわゆる所得の二極化傾向が散見された。4)課税所得別の投票率について見ると、課税総所得金額が高くなればなるほど、投票率もほぼ比例して高くなった。特に、課税総所得金額1800万円超の所得層の投票率が最も高く、8%から10%程度あることが特徴的であった(図3)。1%支援制度については、様々な評価がありうるが、高齢化とそれに伴う財政緊縮の中で、官と民の協働という点からは評価に値すると考えられる。図1 投票者の男女別比率(H17~26年度)(出所)市川市資料より筆者作成。図2 総所得金額別比率(全納税者・投票者・給与所得・給与所得のみ以外)(H26年度)(出所)市川市資料より筆者作成。図3 総所得別の投票率推移(H23~26年度)(出所)市川市資料より筆者作成。(4)公的年金税制と個人市民税公的年金税制と個人市民税との関係も重要である。周知の通り、わが国の公的年金税制を区分すれば、いわゆるEET型になっているものの、給付段階における高水準の公的年金等控除により、事実上EEE型となっている。つまり、二重控除が適用され、課税対象となる年金所得は限られたものとなっている。市川市においては、65歳以上の高齢者で、個人市民税が課されている割合は、全体の40%弱である。給与所得者と比較しても、課税前収入が490万円以下であれば、給与所得控除よりも公的年金等控除の方が大きくなり、手厚い控除の対象となっている。前述したとおり、市川市では65歳以上の高齢人口比率は今後大幅に上昇する。このことは、給与所得から雑所得(年金所得)への代替が急速に進むことが予想され、個人市民税の課税ベースはますます縮小する。これらが市財政に与える影響も無視できない。特に、公的年金等控除は高水準のため、市の税収調達力に対する懸念が生じるであろう。これらの現状を把握しつつ、当研究班では、基礎年金の国庫負担分の非課税化、高所得者に恩恵が大きい定率控除の廃止、控除率の引き下げ(課税ベースの拡大)などの政策的変更を行った場合の効果を検討し、個人市民税に与える影響を推計している。2.2 市川市の高齢化と市税のあり方(1)個人市民税と法人市民税また、高齢化が進むなか、市川市の税収に占める割合が大きい市税のあり方についても検討すべきであり、当研究班では、特に個人市民税と法人市民税について研究している。この根底には、高齢化のもと、高齢者向けサービスが増加する一方で、その主たる財源である個人市民税は減少するであろうが、法人市民税は高齢化の影響が少ないはずであるとの考えがある。現行の法人市民税は、法人の所得に応じる部分(所得割)と会費的な意味をもつ部分(均等割)からなる。所得割は法人の所得には左右されるが、高齢化の影響は受けない。また、均等割は、高齢化と関係なく一定金額の負担を法人に求める。(2)法人市民税の課税強化ただ、法人の経営状況などから所得割が左右され(2)ここでいう「給与収入以外の所得源泉を持つ者」とは、給与所得以外の所得源泉を持つ者に加えて、給与所得を含めた複数の所得源泉を持つ者を含めている。37中小企業支援研究 Vol.3

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