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調査報告最低所得階層は最高所得階層と比較すると要介護高齢者が5倍も多いことを近藤(2000)は明らかにしている。本分析では、所得の底辺3.2%を占める生活保護受給者である最低所得階層の要介護発生率は、所得の上位3.4%の最高所得階層の要介護発生率よりも3.2倍も高かった。⑦女性後期高齢者の生活保護受給者の半数以上は、要支援・要介護者女性後期高齢者の要介護発生率は所得段階1で42.8%であり、女性後期高齢者の生活保護受給者の半数以上(51.8%)は、要支援・要介護者となっている(図5)。女性後期高齢者の低所得階層の要介護発生率は非常に高い。⑧男性後期高齢者の高所得階層の要介護発生は低い後期高齢者では、女性の低所得階層の要介護発生率は高く、男性の高所得階層の要介護発生率は低くなる(図5)。図5 後期高齢者における性別にみた所得段階別の要介護発生率出所: 市川市の提供データより筆者作成。⑨ 低所得階層は重度要介護者の割合が高い重度要介護者、すなわち要介護度4および5の要介護認定者が第1号被保険者に占める割合は、女性で所得段階1は14.4%、所得段階2は12.9%である(図6)。このように、低所得者階層には、重度要介護者の割合が高い。図6 後期高齢者における性別にみた所得段階別の重度要介護(要介護4 ・5)発生率出所: 市川市の提供データより筆者作成。⑩性別や年令の影響を省いても、所得が要介護発生率に影響近藤(2000)は、性別や年齢の影響とは独立して、所得が要介護発生に強く影響していることを指摘している。本データにおいても、同結果を得た。本分析では、所得段階が1段階上がると、要介護発生率は平均1.2%低下していた。年齢が1歳上がると、要介護発生率は平均1.8%上昇していた。3.2 所得と居宅サービス利用について(1)先行研究所得階層と居宅サービスの利用についての先行研究には、山田(2004)と、酒井・伊藤(2010)がある。(2)分析結果低所得階層と高所得層で介護サービスの利用が増える所得段階別に居宅サービスの平均保険請求額をみると(図7)、低所得階層と高所得層で介護サービスの利用が増える傾向にあることが明らかとなった。図7 性別にみた所得段階別の居宅サービスの平均保険請求額出所: 市川市の提供データより筆者作成。40中小企業支援研究

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