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産化、品質の向上が求められており、従来の生産能力(人材不足の状態)では限界に近い状態にあった。二つは、不良品に関する課題である。同社では、組立加工前後の検品作業を目視と手作業により行っていた(図表2)。したがって、目視による検品作業では、図表3に示すような不良品の混入ミスがあり、取引先からは不良品の混入を防止するための対策を講ずることが強く求められていた。加えて、当該製品は非常に小さなサイズ(アンカー外径:8.0mm、10.0mm、12.0mm、16.0mm)であり、高齢化の進んでいる作業員にとっては、検品に要する時間や手間が大きな負担となっていた。以上の当面の経営課題を踏まえ、大塚氏および取引先金融機関の担当者とも協議・検討した結果、①「ロボットの企画・開発・導入による金属拡張アンカーボルト組立の自動化」と②「金属拡張アンカーボルトの検品作業の自動化」という支援の方向性が導かれた。その後の支援内容と今後の課題その後の具体的な支援内容としては、前述の①「ロボットの企画・開発・導入による金属拡張アンカーボルト組立の自動化」と②「金属拡張アンカーボルトの検品作業の自動化」の取り組みを踏まえた事業計画の策定支援および国の補助金制度2などを活用した資金調達3にかかわる支援を行った。その結果、前者の取り組みについては、計画どおりのアンカーボルト組立用ロボット(図表4)が開発・導入された。これにより、従来の組み立て方式に比べ、4倍程度のパフォーマンスが得られることになった。また、後者の取り組みについては、補助金の交付が採択され、当該自動検品システムの開発は現在も継続中である4。しかし、当初想定していた需要予測を大幅に下回り、現段階では、計画したペースでの受注規模には至っていない5。したがって、今後、取引先からの受注量の増加は期待できるものの、導入した当該ロボット設備は十分に活用されておらず、何らかの対応が必要な状況にある。さらに、同社の売上高の多くは、取引先であるサンコーテクノ社に依存している。そのため、リスク管理上、新たな取引先の開拓や同社の強みを活かしたピッキング作業などの新たな事業機会を見出すための取り組み、およびその支援が求められている。2 「平成25年度ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助金」および「平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金」を活用した。3 資金需要額34,992千円の内20,000千円は補助金、不足分は銀行借入によって調達した。4 2016年6月頃に導入される予定(現在は、3万本中10本程度の不良品が混入しているが、当該検品システム導入後は、3万本中0本の不良品混入率いなることが見込まれている)。5 2015年11月末現在出所:株式会社サンオー図表 3 不良品のイメージ(写真)図表 4 組み立てロボット(写真)出所:株式会社サンオー59中小企業支援研究 Vol.3

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