中小企業支援研究No4
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千葉商科大学人間科学部 教授        鈴木孝男平成27年4月から開始した「久留里線プロジェクト」で、先月行われた「ローカル線と古道歩き」という授業内容について報告させていただく。なお、成果物である、学生とともに制作した「るるぶ」(非売品で無料配布)にて、久留里線沿線の紹介記事を掲載した。記事にはプロジェクトに参加した地元の高校生も登場するが、ローカル線の主要乗降客は通学に利用する地元高校生が相当割合を占める実態がある。高校生のような若者が、若年期から地域のことを考えることは大変重要であり、然るに、一緒に地域の活性化について取組みをしようと始めた経緯である。また、久留里線沿線には、地元の方々が関心を示さないような魅力的な里山があるが、同様に風情を醸し出している小湊鉄道との「間」はつながっておらず、ならば歩いて行こうとの発想から企画されたプロジェクトである。以下、学生代表からの報告である。【人間社会学部3年 川名友貴より詳細報告】小湊鉄道養老渓谷駅からJR久留里線久留里駅を結ぶ、全長17kmにおよぶウォーキングコースの設定理由は、その間にある養老渓谷の紅葉の素晴らしさ、また、久留里城祉周辺に多数の古道の存在が事前調査により判明し、これらの活用を意図したことによる。千葉県内にはいくつかのローカル線が存在するが、ローカル線同士で観光客を増やそうという試みであり、決して争うものではなく共存する観光プランである。休憩ポイントには小学校の廃校を活用し、木更津東高校の女子生徒がデザインした弁当等の販売が行われ、また、袖ケ浦高校の写真部の生徒にはウォーキングに同行して写真撮影をしてもらい、さらに、君津青葉高校の生徒にはゴール地点で参加者を出迎えてもらう等で関わってもらえたことが大きなポイントである。学生代表として、今後もこのイベントを後輩たちが引き継ぎ拡充させ、久留里線沿線の活性化に貢献し成長させてくれることを期待して報告を終了する。最後に、地域の資源は何かというと、地元住民がその価値を認識していない自然環境であり、古道をはじめとした歴史的遺産であり、さらには人材である。今回、地元の歴史に詳しい方と巡り会いさまざまな支援をいただいた。このような方との出会いが大事であることを、身をもって認識した。千葉商科大学商経学部4年大畠真実、田中翔太郎、佐藤瑠美「勝浦市総合活性化調査事業」について報告させていただく。3年間の連携協定のうち、平成26、27年度の2年間、学生も参加して経済研究所および地元住民とともに勝浦市の活性化に向けた活動を行い、さらなる活性化への方策について検討を重ねてきた。勝浦市は高齢化と人口減少が進んでいるが、さまざまな海産物や観光地に恵まれた港町で、400年以上の歴史がある勝浦朝市は日本三大朝市としても有名である。平成27年のB-1グランプリ受賞「勝浦タンタンメン」は勝浦市の知名度アップに貢献し、翌年の観光客数は直近5年で最高を記録、また、毎年6月に開催される「勝浦港カツオ祭り」には2万人超の来場者が訪れる。冬は温暖、夏は冷涼と気候にも恵まれ日本の渚・百選にも選ばれた海水浴場も点在する等、観光資源は豊富である。平成26年度にはキッズビジネスタウンかつうら(KBTかつうら)、平成27年度には勝浦朝市応援という活動に取組んだ。さらに勝浦市の活性化につながると考えられる方策として、①インターネットを活用したご当地キャラクター「カッピー」を戦隊ものにストーリー化したもの等の映像配信、②路上ペイント等による勝浦市朝市等への誘導看板の設置、③インパクトのある印象を与える「勝浦タンタンメンサイダー」等の勝浦市特産品を活かした土産物の開発、④勝浦市観光アプリの制作、⑤リピーター確保および問合せ対応を目的とした勝浦朝市における店舗カードの発行、⑥販売商品の情報を発信する勝浦朝市店舗におけるPOPの設置、を提案した。最後に、これら取組みを通じて地域活性化の大変さや厳しさを実感した。また、地域の子どもたちが自らの地域のことを知るために、大人は如何に教えるべきか等、地域連携を大切にしている商業教育について、4年間学んできた私たちにも考察報告者(左から大畠真実さん、佐藤瑠美さん、田中翔太郎君)15中小企業支援研究 Vol.4

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