中小企業支援研究No4
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【③会場の参加者との質疑応答】質問:地域資源の活用には継続性・持続性が重要であると認識したが、それらを担保するためのポイントについてご教示いただきたい。藤井:プラットフォームという継続的な仕組みを現場につくることであり、その過程で重要なポイントは「人」である。プラットフォームに配置されるトップ人材の能力によって、継続性が左右される。宮治:自分で考え自分で行動する、自分から人を巻き込むことが大事であり、地域資源に対しても自らが働きかけないと動いてくれないことが多数ある。つまり「自発性=リーダーシップ」が重要である。鈴木:大学が教育の一環として地域の活性化を位置づけ、人材や資金を投入する姿勢を持つこと。また、自治体や行政においても、コミュニケーションの部分で地域の方々とのつながりを維持できる仕組みを構築することが重要である。総 括千葉商科大学経済研究所副所長 中小企業研究・支援機構長商経学部准教授 鈴木直志今回のシンポジウム企画は、2年前に発表された日本創生会議における「増田レポート」で人口減少社会の到来の危機が唱えられた際、中小企業庁で開催された勉強会が契機である。そこでは、①地域が主体になることの重要性、②息の長い取組みが遠回りのようで成功につながるとの指摘があったが、さらに本日、ご参加いただいた皆さまからの事例報告から、地域にかける熱い想いと行動力、また、プラットフォーム形成による「社会的創発=イノベーション」の重要性を確認することができた。そのうえで、よそ者であるプロデューサーがさまざまなかたちで関わり、若者である学生の実践や発想が、地域の方々とのつながりの構築に寄与することを認識した。本学としても、地域の活性化に貢献できるような仕組みづくりや関わりに努力していく。その過程で、本研究所もその一端を担っていく所存である。シンポジウム記録執筆者中小企業診断士(千葉商科大学大学院中小企業診断士養成コース修了)柴田多敏本日の皆さまの報告に共通したキーワードとして、地域資源活用による活性化における“つながり”の重要性が挙げられていることを踏まえ、最後に今回のシンポジウムの所感を述べさせていただく。地域(経営)資源の構成要素は「ヒト、モノ、カネ、情報」であるが、モノを製造し、カネを調達し、情報を取得・処理するのも全てヒトの行為によりものである。故に、資源の中心を為すものは「人」である。地域と中小企業は似た特性を有している。限られた資源を最大限に有効活用することが、それを存続・発展させていくために求められる。最大限に有効活用するためには、単体ではなく有機的に“つながり”、相乗的な効果を得なければならない。つながるための「触媒」が人なのであり、その人にはさまざまな資源を統合し牽引する能力が必須である。このような特長を有した「人」に対する初期教育をする使命が、社会人への過程の直前に位置する大学にはある。今後、顕著な進捗を見せる高齢化・人口減少社会に向け、(地域)社会を維持・活性させていくためにも、私たちは“つながり”や「人」に対する何らかの役割や関与を遂行する必要があると深思する。報告者飯盛 義徳慶應義塾大学SFC研究所所長、総合政策学部教授/博士(経営学)国や地方自治体の地域づくり委員等を多数歴任。またNPO鳳雛塾理事長を務め地域や人材の育成等に尽力。吉戸 勝ランドブレイン(株)地方活性化グループチーム長知恵と技術で社会に貢献するを社是に掲げ、国の政策立案から現場の事業の実践まで地域に必要な多様な分野の取組みを幅広く支援。藤井 大介(株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニー代表取締役、(株)大田原ツーリズム代表取締役社長、中小企業診断士10年後20年後のこの地域の歴史/文化/産業を残すために地方創生活動を展開。宮治 勇輔(株)みやじ豚代表取締役社長、NPO法人農家のこせがれネットワーク代表理事CEO地域内事業承継の重要性を訴え先代の強み×若者の強み=新たなビジネスモデルを提唱して活性化をプロデュース。千葉商科大学人間社会学部教授鈴木 孝男千葉商科大学商経学部4年大畠 真実田中 翔太郎佐藤 瑠美17中小企業支援研究 Vol.4

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