中小企業支援研究No4
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技術革新のため、あくなき挑戦を続ける社長プロフィール東京都文京区と静岡県清水区において、工業用温度センサーの製作に取り組む林電工株式会社の林正樹社長に、創業以来のものづくり企業としての苦労話や、企業を経営するうえで人とのつながりを大切することの重要性についてお話を伺った。林正樹(はやしまさき)1948年生まれ。1975年に林電工株式会社に入社し、1976年取締役社長に就任。1983年代表取締役社長に就任、現在に至る。左から3人目が林社長、4人目が長男の林国際部長、2人目が池上静岡工場長右端は須田中小企業診断士、筆者は左端経営者インタビュー【 2.林電工株式会社 】工業用温度センサーのパイオニアとして小坂 本日は、よろしくお願いいたします。御社は1961年の創業以来、独自のセンサー技術を基盤にオリジナリティあふれる製品を生み出していらっしゃいますが、創業の経緯はどのようなものだったのでしょうか。林社長 先代社長である私の父は元々、大手企業に勤務する電気のエンジニアでした。思うところあって独立して事業を始めたのですが、当初は、思うように仕事を受注できず、家庭で手軽に使える七宝用電気炉とか工場の自動システム等、色々な分野の仕事に取り組んでいました。小坂 そうしますと、今でこそ工業用温度センサーを御社の事業領域の中心にすえられていますが、元々はそうではなかったというわけですね。林社長 はい。当初は、先代社長は会社を軌道に乗せるために色々な分野に取り組み、その中に工業用センサーがあったというわけです。創業してしばらくの間は当社の経営は安定していなくて、1年の決算が終わってみないと、果たして本当に利益が出ているのかどうかわからないような状況でした。でも、その頃から、既に部門別決算をやっていましたから、先代社長は、各部門の中で最も将来性のありそうな工業用温度センサーに着目して、これを会社の中核に据えようと考えたのです。このようにして、創業して15年目くらいから、工業用温度センサーが徐々に事業の中心になってきました。会社の経営が徐々に安定してきたのはその頃からですね。小坂 工業用温度センサーというと、なかなか一般の方にはなじみのない分野だと思いますが、御社には、この分野で特徴的な強みがあるのでしょうか。林社長 当社が製作する工業用温度センサーには、大きく分けて、熱電対と測温抵抗体の2種類があるNTERVIEW27中小企業支援研究 Vol.4

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