中小企業支援研究No4
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信金中央金庫 地域・中小企業研究所上席主任研究員調査報告はじめに近年、中小企業のなかでもとりわけ規模の小さい「小規模事業者」をあらためてクローズアップする機会が増えている。本稿では、信金中央金庫 地域・中小企業研究所が全国の信用金庫の協力を得て実施している「全国中小企業景気動向調査」の結果をもとに、小規模事業者の景況感等が相対的に厳しい状況にあることを概観する。またその一方で、いかなる局面においても業況堅調と回答する小規模事業者が一定数存在していることにあらためて着目し、業況堅調な小規模事業者とはいかなる存在であるのかについて、ヒアリング調査などを通じて考察してみた。1.小規模事業者の業況は相対的に   厳しい水準で推移近年、中小企業のなかでもとりわけ規模の小さい「小規模事業者」をあらためてクローズアップする機会が増えている。例えば、2014年6月には「小規模企業振興基本法」が制定・施行され、それまでの中小企業政策における中小企業基本法の基本理念であった「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持などを含む「事業の持続的発展」という考え方も新たに基本理念として位置付けられたことは記憶に新しい。また、こうした流れを受けて、中小企業庁においても、それまでの「中小企業白書」に加えて、業況堅調な小規模事業者とは~全国中小企業景気動向調査からの考察~鉢嶺 実図表1 業況判断D.I.の推移(従業員規模別)(備考)信金中央金庫地域・中小企業研究所「全国中小企業景気動向調査」をもとに作成34中小企業支援研究

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