中小企業支援研究No4
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3.業況堅調な小規模事業者のキーワードは  「強い想い」と「イノベーション」一般に、小規模事業者の経営は、規模が小さいが故に、とりわけ経営者の「熱意」や「意欲」などに裏打ちされた個性や行動に左右されやすいと考えられる。こうしたなかで、個別ヒアリング結果なども踏まえた業況堅調な小規模事業者の経営に共通したキーワードとしては、経営者の「強い想い」と、それを具現化するための「イノベーション」の実践の2つに集約できるのではないかと考えられた。さらに、これら2つのキーワードに加えて、「なんとかしなければ」と「このままではいけない」といった、“危機感”を表すキーセンテンスも付加していくべきものと思われた(図表5)。これらが「業況堅調」を実現するための全てとはいえないかもしれないが、あらかたの方向性についてはおおむね示唆できているものと考えている。なお、「業況堅調な小規模事業者とは」という調査研究テーマは、当研究所のみならず、わが国の経済社会を裾野から支える全国各地の小規模事業者にとっても、引き続き探求していくべき“永遠のテーマ”といえる。当研究所においても、地域経済を金融面から支える全国の信用金庫と連携しながら、本テーマについて引き続き“実態解明”を試みていきたいと考えている。おわりに業況堅調な小規模事業者といえども、中長期的な事業継続を念頭に置いた場合、そこにはライフステージごとに越えるべき経営課題が存在している。とりわけ、事業承継の問題は中長期的な視点から、小規模事業者の“事業継続”を確かなものとしていくうえでの根幹を成すものであり、その重要性は今後ますます高まっていくものと予想される。地域経済に根ざしていることの多い小規模事業者にとって身近な金融機関という位置付けにある信用金庫においても、それぞれの事業者の課題解決へ向けて、まだまだ多くの役割が残されており、今後の動向を一段と注目していきたい。(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成図表5 業況堅調な小規模事業者にまつわるキーワード37中小企業支援研究 Vol.4

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