中小企業支援研究No4
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事例報告【報告テーマ】はじめに経営革新計画は都道府県に設置された審査会で審査を受けることもあって、難易度は比較的高い。その一方で、計画の認定を受けても助成金が支給されるなどの利点はない1といっても過言ではない。しかし、積極的に計画の承認を受けようとする小規模事業者がいる。その計画作成に取組む理由を知ることは、小規模事業者に対する支援のヒントとなる。また、第三者による事業性評価となる計画承認は、今後、金融機関と小規模事業者を結ぶ有効なツールとなる。取組む事業者の共通点を見出すことは有用と考えられるため、本稿では3事業者を事例として紹介する。1 経営革新計画の作成支援(1)経営革新計画認定の条件①求められる4つの取組みと新規性経営革新計画の作成では、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動の4つの類型にあてはまる取組みであることに加え、それらの取組みに新規性が求められる。②経常利益と付加価値または一人当たりの付加価値額の年間3%の伸び率の確保計画では、経常利益と付加価値額または一人当たりの付加価値額が年間3%以上伸びることが必要であり、さらに、3年または5年計画とすることが求められている。小規模事業者の経営革新計画認定に向けた支援事例村山 賢誌千葉商科大学経済研究所客員研究員1 政府系金融機関の低利融資、信用保証の特例、課税の特例等の支援措置の対象になることがうたわれているものの、経営革新計画の承認は貸付等を保証するものではないこと、各種支援を利用するためには、それぞれの機関における審査を通ることが必要とされることから実際には利点はないといっても良い。もっとも、ものづくり補助金などにおいて加点されるなど計画の利点付与もでてきている。事業者支援者都道府県県等支援センター・商工会議所・商工会申請申請代行※◆事業者は計画作成や取組みの整理を行う◆支援者は、計画作成への助言計画書書式に即したアウトプットの作成を支援・プレゼンの準備支援※・県や支援機関との情報共有により支援を行う。◆窓口での相談や専門家の派遣を通じた支援を行う。◆事業者に対して、計画のブラッシュアップなどを直接支援することもある。審査会での承認指導情報共有経営革新計画申請のイメージ(客注3を参照)40中小企業支援研究

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