中小企業支援研究No4
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いた。体験企画は、当社を中核事業者としてネイチャーガイドやワイナリーと連携することで経営資源の不足を補うものであり、同時に、地域の活性化に貢献する有用な取組みと考えられたことが挙げられる。支援内容は、当社が持つ強み・良い点の整理、取組みや内容のブラシアップ、申請書作成のための助言、そして、県支援担当者と連携しての申請支援である。当社は平成28年2月に計画が承認された。(※)(4)承認を得た事業者に共通する点紹介した3事業者に共通する点は、①経営者に前向きな姿勢があること、②経営資源として、商品(の素材)やサービス力、また技術力と人的ネットワーク(共通事項)を持つことである。つまり、いずれの事業者も厳しい競争にありながら経営者が経営に対して前向き(積極的)であり、加えて、“光る経営資源”を有していることである。これらの点は、紹介した3事業者以外の計画承認を受けた事業者にも共通する。そして、①及び②のいずれが、欠けても計画の作成にも進まない。3 専門家としての関与と計画   承認後の課題(1)支援におけるパターン必要な支援は事業者がもつ経営基盤によって異なり、①ある程度の助言のみで申請に進むことができる、②アイデアの整理と申請書作成の助言で申請に進むことができる、③事業や歴史、地域環境の聞き取りから、アイデアの整理と申請書作成の助言で申請に進むことができるというパターンに分けられる。そのため、支援者は事業者の状況に応じた支援が必要となる。(2)支援において求められる取組み支援者には、①計画の検討にあたり、優れた経営資源を見出すことが求められる。SW、特にS(強み、良さ)について見出すことが重要である。次に、②経営資源を活かして、革新計画で求められる類型に合致する取組みが可能かを判断(どのような取組みが可能かを想定すること)し、不足する場合にはその充実を支援する、加えて、③協力者との連携のコーディネートもし必要に応じて行うことが求められる。そして、計画の作成は事業者と一緒に進めることになる6。(3)課題課題は、計画承認後において取組みの実行支援と進捗のフォローである。取組みの途中で障害が生じる場合も少なくない。その障害を確認し、解決策を提案することが必要となるが、資金的に専門家に依頼を継続することが難しいという問題がある7。継続支援が必要な下で、公的な支援が上限に到達した場合に、事業者の負担がかからないように支援を継続できるかが小規模事業者に対する支援における課題と考える。もっとも年度後半での支援の場合、翌年度の早い時期に支援制度を活用することで計画実現に向けた支援は可能になるので、申請後から翌年度までの期間が長い場合に、どのように支援するかが課題となる。6 計画の作成では、支援者(専門家)がつくりあげてしまうことも生じがちである。しかし、事業者の理解が伴わない場合には、“絵に描いた餅”と同様となりかねない。この点についても留意が必要である。7 無料の専門家派遣なども少なくないが、支援回数の上限に至った場合には、継続的なフォローができない。次年度の制度利用もあり得るが、一定の期間が開くことになる。事業者との関係においては、電話やメールでの助言や確認を行うこともある。(※) この支援では、甲府信用金庫(本部、長坂支店)の協力を得た。43中小企業支援研究 Vol.4

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