中小企業支援研究No4
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事例報告2.相談内容A氏から自社株式を承継するには、どのような方法が一番いいのかアドバイスをして欲しいとのこと。3.社長(C氏)との面談経過・ 平成27年1月面談:自社株評価算出(簿価80M)  平成26年2月期決算:売上高610M、当期利益15M、純資産額95M  現社長のC氏(46歳)は平成20年10月よりA氏より経営の承継はするも経営権である自社株式は全く所有していない。理由を聞いてみるとA氏(72歳)が数年前に遺言で全株式を自分(C氏)へ移るようにしてあるため心配していないということであった。  会社の決算状況を聞いてみると平均して10Mから20M程度毎年利益計上している。また、法定相続人予定者は、母親と兄弟4名の計5名で兄弟の中で当社に従事しているのは、現社長のC氏だけである。  数年前に遺言作成ということで会社の決算状況が右肩上がりの場合、遺留分の侵害の恐れがあり自社株が分散されるリスクを説明する。平成27年2月期決算においても20M程度の利益計上予定とのこと。・ 平成27年6月面談:自社株評価算出(簿価100M)  平成27年2月期決算:売上高540M、当期利益22M、純資産額117M  財産の移転方法として検討できることは、生前では、贈与・譲渡・遺言。相続発生後では、遺産分割協議となり、この対応は、争族に発展する可能性があり、絶対避けるべきことを説明する。特に、本事例では、A氏の法定相続人が、5名(配偶者、子供4名)おり、贈与や遺言の場合遺留分侵害に十分注意が必要であることを説明する。また、社長C氏の希望は、両親や他の兄弟に迷惑をかけずに自分の力で自社株式を100%所有したい。  以上のことを勘案し、生前譲渡により後継者C氏へ移転する方法を説明する。  具体的なスキームは、代表取締役会長A氏に役員退職金を支払い自社株式評価を引下げる。併せて、C氏が出資し持株会社を設立し、この持ち株会社が、C氏所有のX社株式を購入する。平成28年2月にA氏に役員退職金60Mを支払い、自社株評価の引き下げを行う。・ 平成28年6月面談  平成28年3月期決算:売上高570M、当期図表2 生前譲渡スキーム48中小企業支援研究

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