中小企業支援研究No4
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利益△41M、純資産額75M  この方法により当社顧問税理士に譲渡価額の算出を依頼し自社株評価は54M(対前年度比△46M)となりHD方式により融資実行を行う。融資については、平成27年10月に発売された千葉県信用保証協会事業承継サポート保証『みらい』を活用する。同制度の場合融資期間が15年利用でき、資金繰りの安定が図れる。①C氏が、持ち株会社を設立。同社の代表取締役兼100%株主となる。②A氏所有のX社株式について、X社顧問税理士に譲渡価額を算出してもらい、持株会社が金融機関から資金調達をして購入する。③A氏が持株会社にX社の株式を譲渡する。④持株会社は、A氏にX社株式購入代金を現金で渡す。(A氏の譲渡益については確定申告が必要)⑤X社の株主は、A氏から持株会社へ変更。これにより、持株会社の株主であるC氏がX社の実質的オーナーとなる。⑥持株会社は、X社からの配当・寄付金(グループ法人税制の活用により益金不算入)を融資の返済原資とする。⑦金融機関へ返済を行う。(千葉県信用保証協会『みらい』を活用し15年返済)以上のスキームにより融資:54M代償分割用資産として一時払い生命保険:40M(契約者A氏、被保険者A氏、受取人C氏)の実績となる。まとめ会社経営者の相続対策は一般サラリーマン家庭とは違い、毎期利益を出し、純資産額の厚い会社の場合、総体財産のポートフォリオの中で自社株評価が多額になる。そして、子供が複数人で後継者と非後継者がいる場合は、生前で十分な対策が必要になる。一般的に財産の移転方法として①贈与 ②譲渡 ③遺言 ④遺産分割協議がある。親族内承継で子どもが1人の場合は①贈与 ③遺言 ④遺産分割協議などで十分検討できるであろう。一方、親族内承継で子どもが複数人いる場合は、遺留分対策、経営権の生前時集中の点から、今回の事例のように②譲渡の検討も必要となる。図表3 持ち株会社方式への譲渡のメリット・デメリット49中小企業支援研究 Vol.4

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