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継が推進されていくが、そこに責任者となる事業承継コーディネーター(CO)が1~2名配置される。なお、広域に及ぶ千葉県の場合、北・中央・南の三地域ごとにブロックCOが配置され、ブロックCOにおいて「ブロック支援者リスト(士業等専門家)」を作成し、その専門家を通して中小企業の課題解決を図る、というフローとなる。なお、中小機構は、金融機関・商工会議所等の「かかりつけ医」を支援(研修)する役割となる。この「かかりつけ医」が事業承継診断票に基づき、中小企業の経営者との対話を重ねて“気づき”を与え、士業等専門家や支援機関に取次ぎ、最終的には個者支援(出口戦略)まで導くこととなる。ここで重要となるのは、都道府県と承継COの連携である。私がその任として、全国を巡回してみると、都道府県のリーダーシップ如何で、積極的な動きができているか、もしくは消極的な姿勢に留まっているかに分かれている。現在、実質的に47都道府県がプッシュ型に参画している。(地域事務局:(一社)千葉県商工会議所連合会)■事業承継支援の考え方、その「目線合わせ」はじめに、①なぜ事業承継をやるのか(WHY)?、②誰のために事業承継はやるのか(WHO)?、③対象先は(TARGET)?を中心に目線合わせを行いたい。まず、企業数の推移であるが、ここ15年間で約100万者が減少(2014年で381万者)しているが、着目すべきは減少の内訳が中小企業の85.3%を占める小規模事業者ということである。千葉県は、中小企業数が138,875(2009年)から128,900(2014年)へ約10,000減少し、後継者不在率は67.2%(全国19位)と高く推移している。このことは、128,900×67.2%=86,620もの中小企業の消滅可能性を示唆しているが、この数値を直視して感じて欲しい。行政であれば法人事業税関係の地方税収入の減少、金融機関であれば取引先の減少、商工会議所等であれば会員企業数の減少に直面するだろう。次に、『自分ごと』にすることの重要性を認識していただきたい。目安として、中小企業数400に対して2分の1(=200)は経営者が60歳以上、その2分の1(=100)は後継者が不在である。そこを、一日でも早く探し出さなければ、皆さまの前から、取引先や従業員が減少してしまうことを『自分ごと』として感じて、考えて欲しい。地域経済から事業者や人口の減少を放置することは、益々地域の衰退を招くことになろう。故に国は、直接県に当該予算を配分し、自由使途を認めているのである。さらに、支援機関は、縦軸(①顕在化/相談に来る⇔②潜在化/相談に来ない)×横軸(③資産超過/業績良好⇔④債務超過/業績不良)の4象限に分類し、早急に②×④の象限(第Ⅲ象限)にある“手が付けられていない”中小企業に働きかけて対話を重ね、①×④の象限(第Ⅱ象限)に引き上げて顕在化させる取組みが必要である(図3)。■まとめに経営者との対話を経て、事業承継の「やる気スイッチ」が入るときは、①自分の年齢を意識、②知人の事業承継、③(最大のリスクとして)健康不安がパターンとして挙げられる。従って、事業承継に取組む年齢が若い程リスクは軽減され、かつ選択肢も増えるだろう。また、取引先から支援機関への相談(A社:後継者の存否→サプライチェーン崩壊の懸念、B社:下請会社の経営者の高齢化)で顕在化することもある。最後に、WHY=地域経済の衰退抑制・地方創生に寄与、WHO=皆さん(行政機関・金融機関・支援機関等)、TARGET=潜在的な小規模事業者(4象限の中の特に第Ⅲ象限)、と目線合わせをして本日の報告を終えたいと思う。図2 プッシュ型事業承継支援高度化事業イメージ図図3 事業承継4象限(中小機構H30事業承継支援マニュアルを加工)10中小企業支援研究

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