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第二部事例報告  ………………………………………………元有限会社かずさ企画 代表取締役 監物清一氏株式会社経営承継支援 M&Aコンサルタント 山川亮太氏■M&Aによる事業承継の成功事例インタビュー山川 M&Aを何処でお知りになったのか ?監物 M&Aは以前から後継者探しの一手法として報道等で興味を持っていた。しかし、具体的な利用法等の詳細な内容までは承知していなかった。山川 今般利活用された千葉県事業引継ぎ支援センター(以下「センター」という)の存在はご自身で調べられたのか?監物 M&Aは商工会議所に事業承継の件で相談に赴いた際、センターのパンフレットを拝見して是非相談したいとの思いに至り訪問した。山川 M&Aを決意された経緯は? 監物 息子は他の会社に勤務しており、引継ぐ気持ちはなく後継者不在であった。事業承継は以前から思案するも、『まだ先のこと』と真剣な検討に及ばず時が経過していた。5年程前に狭心症を患い手術し数日入院した際、点滴を打ちながら天井を眺めていると、頭の中を様々なことがよぎり、結果「①後継者不在、②健康不安」が大きな要因となった。山川 その時のご家族の反応は?監物 妻とは以前から相談を重ねていた。私の健康問題もあり、M&Aには妻の方がより積極的であった。私に何かあった時の会社整理手続(廃業等)に懸念を持っており、『この機会に是非…』と。山川 従業員や親戚には相談されたのか?監物 社内の「キーマン」の一人には口外厳禁のうえ、M&Aの方向性と経過を周知した。山川 M&A仲介業者の選定基準(依頼時には何を重点に考えられた)は?監物 地元の金融機関等を通じ、M&A業者の紹介依頼を試みるも数年間音信不通であった。その折に“藁をも掴む思い”でセンターを訪問し御社(㈱経営承継支援)の紹介を受け、面談を重ね決断した。また、考慮した重点項目は以下4点挙げられる。① 「秘密漏洩は大丈夫か、従業員に知られることなく進めることができるか」…秘密保持確約契約を締結し、細心の注意を払って進めていただき、安心することができた。ただ、M&A実行に必要な膨大な資料の準備や、財務内容に関する質問への自力対応は大変困難で、従業員に気づかれずに作業することは一層の注意が必要で苦慮する面もあった。② 「譲渡価格はどのくらいか」…相場観を掴むのに苦慮したが、譲渡価格の指標となる株式評価に関する参考資料を基に説明いただき、納得して進めることができた。③ 「成約の可能性はどのくらいか」…成約の成否が不確定である旨は、事前説明を受け承知していた。買手先探索を開始するにあたり、不知のアプローチ先情報や経営状況に対し不安を感じながらも、進捗過程の緊密な連絡等の信頼関係を築きながら、成約に近づいていることを実感することができた。④ 「従業員の立場は保証されるのか」…事業承継において従業員の継続雇用は、最も重要かつ心配な事項であることを理解してくれる買手候補先の探索を進めていただき、安心することができた。山川 従業員への周知で最も注意を払われたことは何か?監物 周知の時期について相当神経を使ったことは事実。契約締結後の土曜日の業務終了後、一室に全員を集めて、重々しい雰囲気にならないよう車座になり周知した。買手会社のこと、譲渡後にはその会社に私もしばらく残ること、私が何時でも相談に乗ること等丁寧に説明したところ、反対意見は誰一人なく『このまま働き続けたい!』という声もあがり安心した。シンポジウムには中小企業支援に関心を持たれた多くの参加者が来場13中小企業支援研究 Vol.6

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