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シンポジウム記録執筆者  ……………………中小企業診断士(千葉商科大学大学院中小企業診断士養成コース修了)柴田多敏本日の皆さまの報告から、事業承継問題は待ったなしの状況であり、多くの課題が浮き彫りとなり、早急に課題解決に動く必要性を強く認識した。このまま対策を取らずにいると、遠くない将来、日本の多くの中小企業が消滅する可能性があるという現実をデータとともに突き付けられ、日本経済が、日本国民が立ち往生する光景が目に浮かび、慄然とする。事業承継には「相手」がいることが、この問題の解決をより一層困難にする。親族内(従業員)承継では、経営者と後継者の承継意思の合致とその覚悟、M&Aでは従業員の意思や相手先企業の風土や相性等、いずれのケースでも自らの意思・意向だけではままならない事項である。故に常に「対話」を重ね、相互に「理解」し合わなければならないのである。その「相手」の間に立ち、調整弁として機能しなければならないのが「支援機関」であり、我々「中小企業診断士」等の専門家である。すなわち、事業承継支援に関する専門知識の蓄積や提供に留まらず、対話を含めたコミュニケーション機能として介在しなければならない。そこで初めて、構築されたネットワークに「理解と信頼」という揺るぎない基礎が補強され、各機能の有機的連携に発展し、ひいては、「自分ごと」として課題解決による果実(=事業承継の実現)を得ることができるのであろう。梅澤様曰く、『事業承継は「人生相談」である』と…。本日のシンポジウムを象徴するお言葉を紹介して、私の所感としたい。……………………………………………………………(※)「課題の抽出」「課題の整理」を行うために本日のテーマに掲げた「事業承継支援の考え方」及び「対話について」は、中小機構発行の下記マニュアルに記載あり。 ●「平成30年度版 事業承継支援マニュアル」   http://www.smrj.go.jp/ebook/h30_syokei_shiensha/book.pdf ● 「平成30年度版 中小企業経営者のための事業承継対策」   http://www.smrj.go.jp/ebook/h30_zigyosyokei/book.pdf経営者に接している皆さまの事業承継支援のバイブルとして、本マニュアルを一読いただき、一層理解を深め、後継者問題を『自分ごと』として捉え、日々の活動の更なる向上が期待されるところである。報告者魚路 剛司プッシュ型事業承継支援高度化事業全国事務局プロジェクトマネージャー平成31年1月1日『ミライWOつなぐ経営研究所』開業、代表就任。中小企業診断士(千葉商科大学大学院中小企業診断士養成コース修了)、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。梅澤 道博千葉県事業引継ぎ支援センター統括責任者事業承継に関する豊富な実務経験に基づき後継者難の中小企業や関係機関に積極的に働き掛け多くの事業承継案件を精力的に支援。事業承継を通じた千葉県の経済活性化や地方創生にも貢献。井上 考二日本政策金融公庫総合研究所主席研究員2000年国民生活金融公庫(現・日本政策金融公庫)入庫。中小企業庁出向中の2年間「中小企業白書」の執筆に携わり2005年より現職にて中小企業や新規開業に関する調査・研究に従事。監物 清一元有限会社かずさ企画代表取締役千葉県君津市で地域密着型の介護事業(デイサービス)を展開。後継者不在により関係機関の支援を受けM&A仲介会社(㈱経営承継支援)を活用した事業承継を実行・成功に至る。山川 亮太株式会社経営承継支援M&Aコンサルタント三方良しの経営承継を通じて一社でも多くの中小企業の価値を次世代に繋ぎ日本経済の維持・発展に貢献することを経営理念に掲げ最高品質の経営承継・M&A支援サービスを提供。17中小企業支援研究 Vol.6

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