2019_RSS webbook
20/64

TopicsTopicsTトピックスopicsトピックスopics「CUC中小企業マネジメントスクール」の取り組み千葉商科大学商経学部 准教授三田村 智18中小企業支援研究「CUC中小企業マネジメントスクール」は、中小企業の成長に向けた経営革新を支援する、本学地域連携推進センター主催の有料セミナーである。1997年にスタートし、今年で通算23回目を迎えようとしている歴史と実績のある経営スクールだ。毎年5月から翌年1月まで、8月を除く毎月第2土曜日に、全8回の講義を開催している。独自の経営スタイルや理念を持ち、顕著な業績と社会的評価をあげている企業経営者等を講師としてお招きして、現実的で実効性のあるレクチャーと異業種交流を図っている。こうした趣旨により毎年継続して学ばれている企業経営者や幹部社員も多く、また起業をめざす学生・社会人、こうした企業経営を支援する税理士、中小企業診断士、金融機関職員などの参加もみられる。本スクール修了生は経営学習会「生々塾」を組織しており、その協力も得ている。今年度(2018年度)は「デジタル社会とアナログ経営」を共通テーマに、全8回の講座を開講した。インターネットやスマートフォンの普及によりデジタル化された情報伝達が当たり前となる中、口頭での会話、相手の目を見て話す機会の重要性を再評価しようという問題意識だ。社員間の血の通ったコミュニケーションに関する独自の工夫を「アナログ経営」と定義し、興味深い「アナログ経営」に取り組む8名の企業経営者に登壇頂いた。初回(5月)の講義では、市川市行徳で神輿の製作・修理を行う有限会社中台製作所の中臺洋氏よりお話を伺った。行徳伝統の神輿づくりを守るため、さまざまな職人を束ねる同社では、「一社一家族」を醸成すべく、親睦旅行や大「望」年会が行われ、従業員とその家族が集う機会が数多く設けられていた。続く第2回(6月)の講義で登壇頂いた株式会社ヒロカワ製靴も、職人を束ねて我が国の技術力を守ろうとする会社であった。代表取締役の廣川雅一氏は同社2代目として、グッドイヤーウェルト製法で履き心地にこだわった「スコッチグレイン」ブランドを立ち上げ、発展させた。第3回(7月)は、株式会社トーリツ代表取締役の鈴木恵里子氏に講演頂いた。同社は、以前からワークライフバランスへ真剣に取り組み、東京都で初めて「育児・介護休業制度充実部門」「多様な勤務形態導入部門」「働く女性の活躍促進部門」の3部門認定企業となっている。鈴木氏の話によれば、同社が以前から従業員の働き方の自由度を高める工夫をしてきたのは、彼らが給料よりもワークライフバランスの充実を求めていることに応えた結果だという。そこでは、従業員のさまざまな働き方に関する悩みに、会社が一丸となって向き合う姿があった。臨機応変に問題解決を図ろうとする組織の背後にアナログ経営を垣間見ることができた。夏休みをはさんで秋学期になり、第4回(9月)講義では、株式会社ヒロハマ代表取締役会長・広浜泰久氏よりお話を伺った。広浜氏は現在、中小企業家同友会全国協議会の会長を務めており、またCUC中小企業マネジメントスクールには第1回から参加され、生々塾(スクール修了生による経営学習会)の第2代代表としてマネジメントスクールの発展に多大なご尽力を頂いている。その広浜氏より、「デジタル社会におけるアナログ経営」という今年度のテーマに寄せて、同社の「人を生かす経営」についてお話頂いた。アナログ経営の重要性は中小企業だけに止まらな

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 20

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です