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INTERVIEWみで入社しました。そのため、スーパーは続けていきたいと強く思っています。この歴史は引き継いでいかなければならないし、絶やすことはできないと思うのです。そのために、これからのスーパーはどうあるべきなのかを考えています。社会の変化に機敏に対応し、お客様のニーズを先取り新垣:お考えのスーパーのあるべき姿について、具体的な構想をお聞かせください。木田:最近はIoTやAIが進歩して、Amazon Goやユニクロではカゴをおくだけでレジ精算ができていますが、当社でもこのタイプのセルフレジ導入を目指しています。その前段階として、まずは政府が進めているキャッシュレス化に対応するため、バーコード決済のPayPayをいち早く導入します。これは人手不足を補い、社会の波にうまく乗っていくことも大切であると考えているからです。当店のような150坪の小型店舗が生き抜いていくためには話題性があることも重要です。新垣:話題作りについてはどのようにしていますか。木田:例えば年1回の感謝祭は参加者が年々増え、浦安市内や近隣市区町村からの参加者もいらっしゃる昔ながらの地域密着型のイベントです。その良さは残しつつも次の話題性を提供していかなければならないのです。新垣:ライフスタイルの変化で、スーパーで食材を買うという行動も変化してきましたね。木田:その通りです。いままではスーパーで素材を買っていただいていたのですが、“素材から惣菜へ”という動きがあるように思います。昭和生まれのお客様は、量でおトクを感じていたのですが、平成生まれのお客様は、必要な量だけを買うようになってきました。1世帯あたりの人数が減ってきたことが背景にあると思います。前田:お客様の変化という面では、最近は店員さんの声がけが減っているように感じます。お客様は静かに入って、静かに出ていくような印象がありますね。木田:10年前は大きな声を張り上げていましたが、いまは店舗で“いらっしゃいませ”と大声で挨拶すると、違和感があります。スマートな買い物を好むお客様が増え、レジでもお客様との会話がなくなりました。若い世代はコミュニケーションを避けるようになり、セルフレジに行く傾向がありまが、最近では年配のお客様でも同じような傾向があります。前田:昔は一言付け足して、そこから会話が広がっていきましたが、いまはそれがなくなりました。木田:さきほど申し上げたAmazon Goのシステム導入は、社会の変化に機敏に対応し、お客様のニーズを先取りするツールでもあると考えています。安心安全でおいしい食品の提供を柱に、中小企業の活路開拓に向けて前田:これまでのお話で、御社は食品問屋の延長としてのスーパーではなく、大きな変革期を迎えている企業であることが明らかになりました。木田:はい、お客様のニーズに合わせて、スーパーも変革していかなければならないのです。さらに日本では人口減少や高齢化によって、必要とされる食事量が減ってきている一方で、健康に気を遣うお客様が増えています。当社では植物工場で育てた野菜から健康志向の食品をつくることにより、付加価値を高めた商品を提供したいと考えています。大手スーパーにはできない、コンビニでもできない、当店だからこそできることは何か考えると、当店は小回りがきく、地道な商売である、ということです。その手法もいずれは通用しなくなる時がきます。いままさに通用しにくくなってきていることを肌身で感じています。当店が生き残るためには最先端の23中小企業支援研究 Vol.6

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