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XECUTIVE AIを導入することが必要になってくるのだと思います。前田:そうする、というよりも、そうしなければならない、ということですか。木田:その通りです。最近の傾向として、あらゆる分野でプロがプロとして成り立たなくなってきていて、商品に詳しい消費者も増えました。その背景には、情報化社会、ネットの普及があると思います。時代の流れのなかで自分たちが変わっていかなければなりません。職人気質が残る業界ですが、変わることができるうちに、これまでの売り方が通用しなくなってきていることに気づかなければなりません。前田:小売業の売上高は、立地と売り場面積に制限されてしまいますが、生産者と消費者がお互いの顔が見えるプラットフォームを構築して安心安全な商品を流通させることによって、新たな付加価値を生むことがきるのではないでしょうか。その中心にスーパーがあると良いですね。木田:ええ。当店では韓国から玉ねぎをはじめとした農産物を仕入れて、日本の市場に卸して、全国に提供していく予定です。当社は小売業者でありながら、輸入・卸売業者も兼ねることで、これまでとは違う流通業者になりたいと考えています。韓国産の野菜が、質もよくて価格が安い、しかも日本の天候不順をカバーできれば、取り組む価値があります。新垣:卸売りといえば、スーパー業に進出する前、御社の7代目までの家業でもあります。単に卸売業に戻るのではなく、小売業を続けながら卸売業をすることになりますね。木田:「食」というキーワードでスーパーをどのように維持させていくのかを考えたとき、スーパー単体では経営していくことは難しい。しかしスーパーは続けたい。そのためには海外に目を向けるしかないのです。グローバル化社会のなかで、日本の農産物だけを扱うのではなく、輸入業者としてスーパー事業を支えていくことも必要だと考えています。前田:日本のマーケットを漠然とひとつとして捉えるのではなく、小さなマーケットの集合体として捉えて、店舗経営をモデルにしつつ、革新を繰り返しながら、新しい形態を模索しようとなされているのですね。木田:しかし、「食」の基本としておいしいものを売る、という姿勢を忘れてはいけないと思っています。当店では「恋するキムチ」というプライベートブランド商品を開発しました。味もよく、植物工場の野菜なので残留農薬を気にする必要もありません。スーパーの使命は、安心安全でおいしいものをお客様に食べていただくということです。これが前提条件です。前田:仕入れて販売するだけでは実現できないことです。これまで大手が果たしてきたスーパー業界の役割を、中小企業が担うべく革新しているということになりますね。新垣:本日のお話は、御社が会社を持続させてこられた秘訣そのものであるように思います。貴重なお話をありがとうございました。■会社概要商号……………株式会社木田屋商店代表者…………代表取締役 木田喜太郎所在地…………千葉県浦安市北栄3-31-3資本金…………1000万円創業……………天明元年(1781年)設立……………昭和44年(1969年)事業内容………スーパー運営、惣菜事業、植物工場、不動産業グループ年商…16億円従業員数………130名(社員、パート含む)URL……………http://www.kida-group.jp/■インタビュア前田 進……千葉商科大学大学院商学研究科 客員教授新垣 厚……千葉商科大学経済研究所客員研究員プライベートブランド商品の「恋するキムチ」24中小企業支援研究

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