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XECUTIVE 2015年の経営者年齢のピークは66歳となっており経営者年齢の高齢化が進んでいるといえる」(図表2 2018年中小企業白書第2部第6章)という記述とピタリと一致している。事業承継のパターンは、①親族内承継、②親族外承継(従業員等)、③親族外承継(第三者=事業の譲渡・売却・統合(M&A))の3つしかない。事業承継の第一歩と言える「誰に事業を引き継ぐのか」という課題を明確にしなければどの選択肢に進むのかさえ決めることが出来ず、第4の選択肢「廃業」を選ばざるを得ない事態が生じる。また、後継者を決めて社長の座を譲っただけでは会社が健全に存続することは出来ず、先代社長が培ってきた見えない資産(知的資産)をキチンと引き継ぐ必要があるが、親族内に人材が見つけられない場合は会社のDNAを持つ従業員に引き継ぐという選択肢が生まれる。それが上手くいかなければ事業の譲渡・売却・統合(M&A)となるが、雇用の維持だけに止まらず自社のステークホルダーへの対応も考えて決断することが重要である。換言すれば、今までサービスや原材料を提供・授受していた顧客の業務フローを途切れさせてはならないのである。中小企業の事業承継は20年前では親族内承継が9割を超えていたが、足下では6割にまで減じてきている(図表3)。これは、会社を社会の公器として捉えて地域の雇用や活性化、サプライチェーンとしての役割を優先して考えることが親族内でも受け入れられ、従業員への事業承継やハゲタカのイメージが強いM&Aに対する抵抗感が少なくなっている表れと考える。山梨がサプライチェーン上の協力会社をM&Aでグループ会社化し、当社に出向する形で社長に就任したという話を聞き、サプライチェーン内の事業承継が実現していることに喜びを感じたのである。2.千葉商大時代「瑞穂祭に行かれていますか?」インタビューの冒頭で千葉商大の学園祭のことを聞かれた。山梨は体育会所属部の活動全体を統括する体育会本部の本部長(体育会会長)に就任した時、各部同士のつながりやコミュニケーションを強化していくことに力を注いだ。具体的には、新入部員を対象としたフレッシュマンキャンプ、そして各部のキャプテンを対象としたリーダーズキャンプである。新入部員やキャプテン同士のネットワークやコミュニケーションの深耕は、愛校心を育むための重要なツールとして現在も継続して行われている。フレッシュマンキャンプやリーダーズキャンプは他校でも行われているが、その思いは体育会に留まらず学園祭にまで及び、瑞穂祭を盛り上げるために体育会所属部に呼び掛けて積極的に参加したのである。また、これ以外にはバーベキュー大会を企画して食材やビールは大学生協の協力を得るなど大学側とのパイプ役となることも進んで実行した。バーベキュー大会の体育会本部の運営スタッフにはお酒は一滴も飲まず運営に専念することを周知し、大会終了後には打ち上げを実施して運営スタッフに対する気遣いについてもキチンと行っていた。体育会所属各部のコミュニケーションの深耕と体育会本部スタッフへの気配りは、愛校心を醸成する本部長としての任務を的確に理解し、実施する原動力となっていた。また、在学中には実現しなかったけれどもという前置きがあったが、体育会所属部が校内合宿を行える合宿所の提供を大学側と折衝を続けていたことは、大学生協に対してバーベキュー大会への協力依頼を折衝していたことに加えて、外部との折衝に関しても責任者としての役割を果たしていた。体育会本部の本部長の活動で図表2 中小企業の経営者年齢の分布出所:2018年中小企業白書を筆者加工図表3 パターン別事業承継の推移出所:2018.12.16 中小企業向け事業引継ぎ検討会(第1回)   資料3事業引継ぎの現状と課題26中小企業支援研究

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