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トピックス33中小企業支援研究 Vol.6家派遣事業を活用して地域の小規模事業者の支援に努めるものである。これらの専門家派遣制度等を活用し、最大限の支援効果を上げるように経営指導員は日々取り組んでいる。3 経営発達支援計画商工会は、種々の支援施策を活用しているが、国の従来の施策体系は地域を支える小規模事業者へ十分に光を当てていなかったといった反省から、平成26年に小規模企業振興基本法が制定された。本法に基づき、4つの目標と10の重点施策が策定されており、10の重点施策として以下の項目を掲げている。①ビジネスプラン等に基づく経営の促進②需要開拓に向けた支援③新規事業展開や高付加価値化の支援④起業・創業支援⑤事業承継・円滑な事業廃止⑥人材の確保・育成⑦地域経済に波及効果のある事業の推進⑧地域のコミュニティを支える事業の推進⑨支援体制の整備⑩手続きの簡素化・施策情報の提供この項目の中から、特に①のビジネスプラン等に基づく経営の促進といった観点から小規模事業者の事業計画策定支援の重要性が叫ばれている。2016年版中小企業白書によると下図の通り、経営計画(事業計画)の作成と売上増には一定の相関関係があると分析されている。経営計画は事業計画を内包した概念であり、小規模事業者が支援対象の中心となっている商工会においては、単一事業を実施している企業が支援対象となることが多いため、経営計画と事業計画を特に区別していない。そのため、事業計画の作成が、小規模事業者の経営を改善するとされており、事業計画作成支援を商工会等の支援機関が実施することが重要であるとされている。同法の制定に合わせ小規模支援法が改正されたが、商工会が作成する経営発達支援計画を経済産業大臣が認定する制度が制定された。本経営発達支援計画には千葉県内の商工会は40商工会全てが認定されており、推進に取り組んでいる。4 商工会の支援策⑴ 商売繁盛窓口事業経営発達支援計画を実施するという観点から、商売繁盛窓口事業を実施している。本事業は月1回県内40商工会へ中小企業診断士等の専門家を配置し、地域内事業者の様々な要望に応えるものである。平成27年度から事業を実施していくなかで、直接の相談のみならず、地域の小規模事業者の悩みに対して商工会の経営指導員を通じて間接的に支援するという効果も見えてきた。また、OJTが効果を発揮しており、専門家派遣事業について、当初より何が問題で、何が課題であるかが明確に切り分けられている案件が増加している。そのため、効果的な専門家派遣の実施につながっている。他方、専門的な見地から支援していただく専門家派遣の需要も増加しているが、専門家派遣の予算枠が決まっていることから下記図表の通り指導回数の増加は困難である。そのため、どのように限られた専門家派遣の枠を活用し、最大の支援効果を上げるかが今後の課題となっている。図表2 千葉県商工会連合会管内における専門家派遣件数推移図表1 経営計画の作成の有無と売上高の傾向出典:2016年版中小企業白書

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