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調査報告Ⅱ.地域資源を目的に従い探索し、経営資産に変換する■地域資源とは地域資源活用促進法第二条2項によると、次の各号いずれかに該当するものをいう。㈠  自然的経済的社会的条件からみて一体である地域(以下単に「地域」という)の特産物として相当程度認識されている農林水産物又は鉱工業品㈡ 前号に掲げる鉱工業品の生産に係る技術㈢  文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源として相当程度認識されているもの地域の特産物として相当程度認識されている「農林水産物又は鉱工業品」、「鉱工業品の生産に係る技術」及び「観光資源として相当程度認識されているもの」と規定している。地域資源活用促進法が一部改正された(平成27年8月施行)。これまで殆どが個社の取組みで終わっており地域経済への波及も限定的かつ売上も少額。「地域全体での取組み」と「販路開拓」が課題とされており、支援内容が改正された。企業間連携による市場の拡がりが求めれている。文部科学省の「地域資源の活用を通じたゆたかなくにづくり」資料では、地域資源について、固まった厳密な定義はないが、として、以下3点の特徴をあげている。「㈠『非移転性』:地域的存在であり、空間的に移転が困難。㈡『有機的連鎖性』:地域内の他、地域資源と相互に有機的に連鎖する。㈢『非市場性』:非移転性という性格から、どこでも供給できるものではなく、非市場的な性格を有する。」こうした特徴からみて、地域資源は大量生産・大量消費型の資源とはなり得ず、まさに新しいパラダイムの下で積極的に活用されていくべき資源。また、これらの特徴は、その存在そのものが既に他とは差異化された独自の価値を有することを含意。」5と述べられている。これらの定義や特徴からみても、地域資源はそれ自体が既に差別化されたものであり、独特な価値を持つものであることがわかる。地域内外において、有機的連鎖性を促すことにより価値の増幅が期待され、非移転性から地域内に誘い込むことが重要となり、非市場性から独自の価値を情報発信することが重要課題となる。■資源と資産は違う資源は、人的資源や天然資源のように生物が生きていく上で利用できる物であり、資産は、知的資産経営の視点で捉えると組織が持つ強みであり、他者にとっては脅威となる有形のモノ及び無形のコトである。そのため地域に散在する地域資源を、自社の強みとなる資産に変換することが求められる。組織は掲げるビジョンを持ち、果たすために明確な事業目的を持つことが重要となる。地域資源を活用した事例は、事業目的に適合する地域資源を探索し、その資源を事業目的を叶える経営資産に変換している。図表2に、地域資源の分類と紐付く経営資産の一例を示した。上記の3つの特徴を活かし、資源から資産に変換することが望まれる。組織は、地域資産づくりを旗頭に集まり、企業間連携を進め、共有する事業目的の達成を目指す。■共有する事業目的地域産業資源活用事業計画認定事例集6から、その傾向を分類した。4つの連携目的に分類できる。価値創出の方向及び連携のパターンについて整理した。図表1 地域資源を活用した企業間連携と事業発展のプロセス 44 2005年3月.中小公庫レポート2ページを参考に筆者が作成した。5 文部科学省「地域資源の活用を通じたゆたかなくにづくりについて」(平成23年3月資料)7頁から引用6 中小機構 地域産業資源活用事業計画認定事例集平成19年第1期認定153件,平成20年第2期認定71件,最新レポート13件を対象にした。42中小企業支援研究

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