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調査報告Ⅲ.地域資源活用三法と3つのビジネスモデル事例を分析する地域資源活用支援制度について、その三法の狙いと特徴を整理した(図表5)。10地域資源活用事業及び農商工連携事業は、図表3の2商品・サービス企画,3市場開拓・販路開拓を目的としている事例が大半である。新連携事業は、製造技術・研究開発の事例が大半を占める。上記の法的支援認定を受けた代表的事例を取り上げ、考察した(図表6,7,8)10。事例研究⑴ わたらせ渓谷鐵道㈱鉱山鉄道から観光鉄道へ、赤字脱却・生き残り戦略群馬県桐生市から栃木県日光市足尾町までを結ぶローカル鉄道。北関東の自治体が出資する第三セクター。足尾銅山と深いかかわりがあり、1911年開業以来、歴史がある。少子高齢化に伴う沿線人口の減少から赤字経営が続く。生き残りをかけ、再生に取組んでいる。沿線住民の願いであり、根強いファンがいる。再生を託され、2009年群馬県庁で観光局長を勤めた樺澤豊氏が社長に就任し、矢継ぎ早に再建策を実行し、自らもわ鐡(わたらせ渓谷鐵道の略)の広報マンとしてその魅力を発信している。2008年地域資源の指定を受ける。地域公共交通出資制度を活用、群馬県・栃木県・桐生市・みどり市・日光市の資金支援を受けている。11「わ鐡は、沿線地域の大切な生活路線であるとともに、当鐵道を軸とした沿線市民との協働・連携による魅力的な地域づくりへ活性化を図る重要な役割を果たす」と宣言している(わ鐡代表取締役社長樺澤豊氏)12。2006年「わたらせ渓谷鐵道市民協議会」が発足され、活動している。わ鐡代表取締役社長樺澤豊氏の強力なリーダーシップの下、各種イベントの開催及び関連機関との連携し事業化を図っている。目的は、「沿線地域の魅力づくり、そして首都圏からの観光客の導引である。」関東圏TV局はじめメディアとの連携も進め、情報発信に努めている。地域内のみならず、関東圏の組織との越境連携を進めている。今後も沿線の魅力づくりと域外企業との連携を広げ、販路開拓を進める(図表6)12。図表4 企業間連携のパターン 9図表5 地域資源活用三法 109  企業間連携の4つの類型モデル/文教大学 森岡孝文・根来龍之 論文を参考に筆者が作成した。10 経産省施策公募要領に基づき、筆者が作成した。11 平成30年から平成34年度わたらせ渓谷鐵道経営計画、みどり市再生基本方針から引用44中小企業支援研究

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