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調査報告を持つ企業が役割を担う。円卓連携である。最終的に、この連携によってコア企業の市場開拓に繋がっている。事例研究⑶ 熊本ネクストソサエティ㈱熊本近郊・生鮮魚介類・新流通システム構築事業「食に関わるアプローチから熊本の街づくり・地域活性化を目指した仕組みをつくる」とビジョンに掲げるITシステム開発会社(本社:熊本県熊本市、代表取締役社長山戸健氏)。平成21年設立、「熊本をより良い街にするために「食」に関わる方々をサポート。情報を集約・管理し、生産者と流通業者、消費者がともにつながる社会のシステムづくりを行う」を事業コンセプトにしている。地域に根ざした「熊本モデル」を確定し、他地域への展開を目指している。中核の事業は、熊本県産の食材・生産者情報を集約・一括管理する「フードバンクデータベース」の運用。生産者・飲食店等、食関連事業者の登録情報を基に、交流機会を創出し、県産食材の流通拡大やブランド力向上をサポートする。平成25年「熊本近郊・生鮮魚介類・新流通システム構築事業」が農商工連携事業として認定を受ける10。事業目的は、「くまもと海風便」としてブランド化し、不知火海など熊本近海で採れた地域色豊かな魚介類を熊本市内の飲食店等に直送するITを駆使した新流通システムの構築。漁協と飲食店を直接つなぐWEB受発注システム・小ロット物流システムを整備した。熊本生鮮魚介類の販路開拓である(図表8)。企業間連携は、熊本ネクストソサエティ㈱がコア企業、熊本漁業組合がサブリーダーとなり、漁業者と飲食店をネットワークした。連携のパターンは垂直連携、将来は越境連携を視野に入れている。Ⅳ.地域資源を活用した企業間連携が生み出す企業価値創造のプロセス中小企業にとって企業間連携が活力の源泉になる。そして、企業間連携を進める上で地域資源の活用が有効となる。連携企業により期待される価値創造のプロセスを示す(図表9)。153つのステップを踏む。まず、1ステップは人的資源の蓄積を図る。地域資源を認識したキーマンがリーダーとして機能することが前提。キーマンが、同じ思いを持つ同志に事業化をすすめる目的を授け、目的を共有することが第一条件となる。次に、2ステップはキーマンが属する企業がリーダーとなり、連携を進める。互いが持つ組織の強みを開示し、弱みは補完し合う事業目的を叶える連携組織体をつくる。そして、研究開発から商品・サービスづくり、販路開拓を計画化する。3ステップは連携組織体の価値創造の連鎖を描き、ビジネスモデルをつくり上げる。と同時に提供する企業価値に準じた利益の配分率を取り決める。連携組織体協定書なるものを作成する。準備段階として、この3つのステップを踏む。そして、実行し問題点は、修正を繰り返し、目的達成に向かう。成果として、経済、価値を創出し連携企業が利を享受する。おわりに大企業に比べて経営資源に制約のある中小企業にとって、企業間連携は有効である。そして、地域資源を活かした取組みが企業間連携を必要としている。中小企業、特に小規模事業者にとって、この方法が有効と考える。今後の経営診断活動において、その有効性を伝えていきたい。15 知的資産経営の視点から筆者が作成した。図表9 企業価値創造のプロセス 1546中小企業支援研究

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