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事例報告図表3 経営理念の構築とその結果 ⑵ 経営理念に美容技術を追加  美容室の根幹である美容技術のレベルアップの必要性を感じ、経営理念に「トップレベルの技術を習得・維持する」を追加した。技術習得方法は、各種講習会の受講、全国のトップレベル講師を招いての店内講習、各種ヘアーコンクール出場に伴う店内練習である。ほぼ全従業員が、県大会、関東地区大会、全日本大会、国際大会に参加し、その成績は優勝・準優勝・上位入賞と華々しいものであった。その結果、接客だけでなく技術的にも他店との差別化が図れ、水戸市に2店舗目を出店することが出来た。この時の全従業員数は16名となった。  ⑶ 経営理念に社員の人間形成を追加従業員の人間形成も経営者のつとめの一つであると気づき、経営理念に「心豊かな人間に育てる」を追加した。方法は、外部講師による企業人教育を行った。主な内容は①仁・義・礼・智・信、②WIN-WIN、③協働、④自己を知る、⑤仕事の進め方などである。 その結果、経営理念や方針が合わない社員が自主的に退職したので、後輩への悪影響が無くなり、全社のベクトルや価値観が一致し、和やかな雰囲気の職場になった。この時の全従業員数は27名となった。 ⑷ 美容業界全体を考える経営理念に「業界に貢献できる人を育てる」 を追加し、具体的行動として総合美容室化と共に全国レベルの美容活動(教科書編纂や全国の美容組織での講師活動等)を行った。その結果、全従業員数は40名となり、地域の雇用にも貢献でき、全国版の美容室となった。4.まとめ経営者の等身大の志を洗い出し、その実現に必要な実行項目を明確化して実践すれば目標は実現できることを、普通の中年主婦が創業した零細美容室の実例で示した。また本稿には載せていないが、経営理念を無視して事業が衰退した例を、筆者は数多く知っている。社長と主な社員日立店外観日立店セット面(一部)結果経営理念店舗数床面積従業員数売上高その他坪人万円/月無し114坪280赤字続きお客様第一主義を貫く13674004千万円サロントップレベルの技術を習得・維持する28616600接客だけでなく技術的にも他店との差別化が実現心豊かな人間に育てる286271200全社のベクトルや価値観が一致業界に貢献できる人を育てる3200401400全国レベル48中小企業支援研究

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