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事例報告経営革新計画に挑戦することになった。今まで実績のない製品を直接顧客に販売することを踏まえ、顧客ニーズが「音」だけでなく、デザインや他人とは違ったものを持ちたいといった個性的なこだわりを重視することから、従来の完成品の音響キャビネットの販売だけではなく、顧客が自ら組み立てられる音響キャビネットを販売することにした。製品を購入した顧客が、カッティング精度の高い音響キャビネットの部材を手軽に組み立てられることができ、完成品と同等の品質で、「ものを作る楽しさが味わえる体験」とともに、「自分だけのオリジナルスピーカーを手に入れることができること」で、顧客満足度を高める製品を提供する工夫をした。そして、音響キャビネットを店頭で販売してくれる販売店として期待される家電小売店や大型ホビー店を募り、直接消費者に製品を手にとってもらい、製品の良さを体感し、購入してもらう体制を整備した。それと同時に、毎年、ECの市場規模が拡大していることを市場の機会と捉え、大手ショッピングモールでの製品の販売を開始した。ECサイト立ち上げと拡販体制の強化2014年には、大手ショッピングモール内で、順調に製品の販売実績を伸ばしていたが、売上に対する手数料なども増加傾向にあったことから、同社にてECサイトを立ち上げ、製造から販売まで一貫して行える体制を強化することになる。ECサイト立ち上げに際しては、Yahoo!やGoogleなどの大手検索サービスで消費者が使う検索キーワードを解析し、インターネット上での消費者動向を見定め、同社が提供する製品のこだわりや品質の高さ、組立動画などのコンテンツを充実させ、顧客が好む情報を継続的に発信するように心掛けた。このことで、同社のECサイトで、製品を購入した顧客のデータをデータベース化し、今まで難しかった顧客との接点を増やすことに成功する。製品の品質を高める技術力受注が減少傾向にあった音響キャビネットの売上を伸ばす様々な取り組みを実践した結果、固定客も増え売上も増加したが、製品を継続的に購入するのは、コアなファンに限定される。今後、大幅な需要拡大が期待できないと判断したため、同社の強みであるカッティング精度の高い技術力を伸ばし、より高品質で付加価値の高い製品を生み出すことに挑戦する。同社の試行錯誤の取り組みによって実現したカッティング精度の高い技術は、横長の板を切り離すことなくV字の溝を入れながら、この溝を折り目として折り返す工法により、すき間なく正確な接合が可能となる。ECサイトBear Horn (http://bearhorn.jp/)従来型の木取数         新技術を取り入れた木取数誰でも楽に組み立てられる工夫をした音響キャビネット50中小企業支援研究

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