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この技術を取り入れることで、後加工の工程が従来のおよそ1/4~1/8で済み、作業効率に優れ、美しい接合面を得ることが容易となり、審美性に優れるなどの利点を作り出すことができる。また、カットミスで、直角にならない、曲げられない、破れの原因などの不都合が生じるため、高い技術が必要となる。精度の高い直角な接合部を実現するためには、カットする際の刃の角度、刃の送り、刃深さによる材料の残し量が決め手となり、他社との差別化につながる。さらに、この技術を高め、高度な加工方法により、美観と安全性の両面において、今まで以上に優れた製品づくりとして、「隅切り仕様」のカッティング加工に辿り着く。この「隅切り仕様」は、2倍の加工速度で、カッティング加工を2回行い、2ケ所を折り曲げた結果、正確に直角ができるように溝の角度を調整する。加工後は、棚にした時に歪まないように、V字の溝が正確に、そして、平行になるようにするため、さらに繊細な精度が求められる。この「隅切り仕様」の製品の販売先として高級スーパーマーケットなどが挙げられる。高級スーパーマーケットなどの青果・惣菜・ワイン部門で使用される什器は木製品が好んで使われていることから、同社の「隅切り仕様」の技術をいかした製品が、今後の営業活動によって、使用されることが期待される。経営環境に柔軟に対応した持続 可能な経営と今後の課題以上、変化する経営環境に柔軟に対応し、事業の持続的な発展に取り組む同社が実践した事業内容を考察してまとめると、経営理念のもと、経営方針に則って、同社が有する経営資源と、同社にとって有利となる市場の変化する機会を的確に捉え、新しい事業に積極的に挑戦していることが挙げられる。今後の課題として、同社が、戦略的な経営を実践し、これからの経営環境の変化をどのように見極め、今まで培った事業活動に有益な技術を知財の観点から保護し、どのように活用して、顧客が求める製品を提供し続けることができるかが、今まで以上に求められる。従来型の技術による製品例V字の溝を入れたカッティング技術を取り入れた製品例従来のカッティング技術    「隅切り仕様」のカッティング技術吉本キャビネット株式会社の本社工場イラスト■会社概要企業名…………吉本キャビネット株式会社代表者…………吉本 壽宏本 社…………埼玉県蕨市錦町1-14-6資本金…………3,100万円URL……………http://yoshimoto-cabinet.co.jp/(コーポレートサイト)http://bearhorn.jp/(ECサイト)51中小企業支援研究 Vol.6

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