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調査報告ことから、企業は、外国人の「定住者」には、日本人と不自由なく意思疎通ができるレベルの日本語能力を求めていることがわかる。④在留資格「特定技能」に基づく外国人労働者の雇用の予定次に、外国人が働いている事業所及び今後の活用を検討している・検討する可能性がある事業所に対し、新たに設けられた在留資格「特定技能」に基づく外国人労働者の雇用の予定について聞いたところ、「予定がある」は17.7%であった。一方で、「わからない」という回答は43.9%であった(図11)。在留資格「特定技能」に基づく外国人労働者の雇用予定を「わからない」とした理由では、「現在検討中で、まだ結論が出ていないため」が最も多かったが、「経費が掛かりすぎる」、「途中で他社に移る可能性があるため、雇用主の負担が大きい」といった制度面での困難さを指摘する回答も見られた。⑤事業所が特に困っていることや行政に望むこと最後に、「本調査」における「事業所が特に困っていることや行政に望むこと」についての自由記述から一部を紹介したい。自由記述について類型化をすると「人手不足」、「外国人労働者活用の情報提供」、「技能実習生制度に関すること」、「日本語教育に関すること」といった点について多く寄せられた。「人材不足」については、求人を出しても日本人の応募がない、日本人の若者が不人気業種に従事しようとしないといった意見が多い。「外国人労働者活用の情報提供」については、どの職種において外国人雇用が可能なのか、また、どのような手段で外国人雇用を進めたらよいかわからないので行政等の相談窓口を充実して欲しいといった意見が多い。「技能実習生制度に関すること」については、外国人技能実習制度そのものの見直しを求める意見が最も多く寄せられており、特に就労期間と対象職種に対する意見が多い。就労期間に関しては、現行制度の最長5年間までの滞在では就労期間が短く、せっかく職場に慣れ、技術を習得したのに帰ってしまうことが困るといった意見が多い。対象職種に関しては、外国人技能実習生を雇用したいが、制度の対象業種でないので困っており、業種の拡大を望むといった意見が寄せられた。その他では、費用に関するものが多く、外国人技能実習生の監理団体6に支払う費用が思った以上に高く、活用をやめたとの回答があった。これは採用に係るコストや採用後の配慮や支援が必要であることを考えると、外国人労働者はローコストで雇用できるという認識が必ずしも当てはまらないことを示している。「日本語教育に関すること」については、社内教育をしているが、外国人労働者の日本語の習得レベルがなかなか上昇しないことや、地域社会や行政機関等に日本語習得の場の提供を望む声が寄せられた。4 今後の中小企業における外国人雇用の課題「本調査」の結果からは、中小企業において外国人労働者の雇用が進んでいる反面、問題点も多く生じていることが伺える。外国人技能実習制度については、新型コロナウイルスの流行の伴う外国人技能実習生の実習先の確保の困難に対応するために、2020年4月以降、例外的に職種間移動が認められるなど制度の一部緩和が認6 監理団体は、企業の依頼を受け、技能実習生の求人や現地での面接等の受入の手続を行い、受入後は各企業が適正な技能実習を行っているかどうかの監査や指導を行っている。予定がある,17.7%予定がない,⦆31.1%わからない,43.9%⦆無回答,⦆7.3%出所:静岡県外国人労働者実態調査図11 在留資格「特定技能」に基づく外国人労働者の雇用の予定(n=772、単一回答)32中小企業支援研究

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