中小企業支援研究vol2
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中小企業支援研究 別冊 Vol.217ですから。フロント、ロビー、外観にはあまりお金をかけてきませんでした。しかし色々な旅館経営の諸先輩にお聞きすると、外観は旅館の顔としてお客様をお出迎えし、フロントは旅館のコントロール・センターのようなもの、ロビーは単なる待ち合いの場所ではなく癒しやコミュニケーションのための空間である、これらが旅館のステータスとなるんだという事でした。うちはここに目を向けなかったため単に老朽化した状態になってしまいました。今後はこの辺の反省を踏まえつつ、この古さを、あじわいだったり、昭和の郷愁のような見せ方にしていければと考えています。阿左美 ここまで、御社の「強み」や「経営環境」等をお聞きしましたが、次に、今後のプラン等についてお聞かせください。茶木 自然を生かしたプランを作っています。夏休み期間の自家栽培の野菜を使ったバーベキューなど、他の旅館で出来ない、晴観荘のこの広大な自然豊かな敷地を利用して、どちらかというとアウトドア大好きの人が集まるような取組みができれば良いなと考えています。まず第一歩でバーベキューをして、行く行くはツリーハウス(他の大手リゾートが行っている)や山の中にコテージを建てたり、そんな事をやりたいと考えています。阿左美 非常に面白い試みかと思いますが、その実現可能性は如何でしょうか。茶木 ツリーハウスやコテージといった大きな取り組みは、資金調達からの検討になりますが、バーベキュー場は自分達で作れるので、取り掛かれれば直ぐに出来ると思います。従業員にも関心をもって協力してもらえると良いのですが。阿左美 従業員やお取引先にとってどんな会社を目指したいとお考えでしょうか。茶木 従業員にとっては信頼して安心して働ける会社にしたいと思います。取引先においても同じだと思います。阿左美 それでは、お客様にとってどんな旅館を目指したいとお考えでしょうか。茶木 来てよかったと云われたい、二度三度と来ていただき、日常を忘れて癒しを与えられる宿屋づくりをしていきたいと思います。今は「餅屋は餅屋」で、チャンスを見据えて自社の広大な自然を生かしたい阿左美 最後に御社の将来像について幾つかお聞きしたいと思います。阿左美 今後、新規事業への参入等、事業拡大のお考えはありますでしょうか。茶木 今のところ「餅屋は餅屋」でいこうと思います。阿左美 今は本業で頑張って、先ずは成果を出す事が最優先ということですね。阿左美 社長は今57歳という事ですが、事業承継について、課題や方針はありますでしょうか。茶木 後継者には、自分の希望する仕事を満足するまで勤めてもらいたい、納得した後に事業を承継してもらえればと考えています。先ずは自分のやりたい事を成し遂げて、その上で旅館業をやりたいと思うのであればやれば良いと思います。そうすれば良い仕事が出来ると思います。阿左美 事業承継についてお聞きしたのは、企業は永続企業として絶え間ない企業努力が求められますが、如何お考えかをお聞きしたかったのですが。茶木 10年ひと昔ではなく大昔の感があります。老舗や歴史の上に胡座をかいていると存続は厳しく、日々の努力が欠かせません。阿左美 最後に、御社の将来像についてどんなイメージ(夢)を抱いているかお聞かせ頂けますでしょうか。茶木 自社の努力は勿論のこと、取り巻く環境が変わってチャンスがくれば、広大な自然環境を生かした事業を展開したいと考えています。阿左美 本日は長時間ありがとうございました。レトロ写真(市川旅館、晴観荘の前身)■会社概要会社名…………株式会社 晴観荘 (市川別館 晴観荘)所在地…………群馬県渋川市伊香保町伊香保557連絡先…………TEL 0279-72-2717 FAX 0279-72-5377URL……………http://www.seikanso.co.jp創業年…………昭和32年(前身となる市川旅館は明治34年に創業)経営理念………「保養と健康」に寄与し、癒しの場を提供する事業内容………宿泊・休憩・入浴・食事資本金…………1千万円年商……………1億8千万円従業員…………18名■沿革明治34年………伊香保温泉石段街にて市川旅館を創業昭和32年………見晴台(15,000坪)に有限会社 市川別館晴観荘を創業平成8年………株式会社 晴観荘に組織変更現在に至るインタビュア:阿左美 義春・・・中小企業診断士(千葉商科大学大学院中小企業診断士養成コース修了)

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