View & Vision No42
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10特 集大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―42特 集1)宗像 惠「IDE現代の高等教育」(No.571, 2015年 2〜3号, p.56)2)宗像 惠「教員評価制度の運用と大学風土改革」(高等教育情報センター編, 地域科学研究会発行, 2008年, p154) 大学の産官学連携を推進するためには大学から優れた基礎研究の成果が継続的に発信されていることである。基礎研究の充実・発展を図るためには一生懸命よい教育や研究をしても、しなくても、何不自由なく勤めていられる環境を変えなければならない。そのためには教員業績評価を行い、競争的環境にすることである。 近畿大学では「教員業績評価制度」、「個人研究費のインセンティブ制度」を実施して、各教員の研究・教育活動の活性化が図られている。(1)教員業績評価制度 本学は、2002年度から教員業績評価制度を実施している。各教員が毎年度5月に前年度の教員業績を4項目(教育業績・研究業績・管理運営活動・社会活動業績)で点数化し、各々に40%・30%・20%・10%のウエイトを持たせた「教員業績評価自己申告表」を各学部の教員業績評価部会に提出することを義務づけている。当該評価部会は、これに基づき教員業績を総合的に評価し、A・B・Cの3段階にランク付けし、学長を委員長とする全学の評価委員会に提出する。評価委員会の審査で、Aランクと評価された教員には賞与時に特別手当(11万円〜21万円)が支給される。 教員業績評価の「研究業績」の評価指標には、論文等(審査を経て権威ある学術誌に掲載された論文等)、科学研究費補助金の獲得件数、科学研究費補助金以外の公的機関または企業からの委託研究費等の獲得、研究プロジェクトへの参加等に加え、大学に帰属する知的財産(特許、意匠登録等)の創出・研究成果の実用化等11項目がある。「社会活動業績」の評価指標には、産官学連携活動(企業への技術援助協力、国公立機関との協力等)、近畿大学発のベンチャー企業の役員・委員等7項目がある。なお、学部の特質によって異なる評価基準の採用も認めている。 これまでの「論文」中心主義の評価から特許の創出や地域貢献など論文以外の業績も評価に組み込んでいる。このような多面的な評価制度のもと、産学連携も教員業績評価に繋がっている。(2)個人研究費のインセンティブ制度 本学では、学部経由で研究室単位に支給される教育研究費とは別に、個人研究費(研究費A)として全教員に1人あたり年26万円が支給されており、材料用品費の他、専門図書の購入、学会年会費、学会参加費等の必要経費に充てられている。これらに学会出張旅技術・商品イノベーションにつながる産学連携を目指して評価制度運用で研究・教育活動の活性化1,2)1プロフィール1970年3月 京都大学 大学院 理学研究科 博士課程(化学専攻)修了1970年4月 近畿大学 理工学部 講師1974年4月 近畿大学 理工学部 助教授 1985年4月 近畿大学 理工学部 教授1998年10月ー2008年9月 近畿大学 理工学部長1999年10月ー2008年9月 近畿大学 副学長2000年10月ー2008年9月 近畿大学 理事2000年10月ー現在 近畿大学 リエゾンセンター長2013年4月 ー現在 近畿大学 特任教授MUNAKATA Megumu近畿大学リエゾンセンター長宗像 惠大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―
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