View & Vision No42
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12特 集大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―42に重点を置いた活動)、③ビジネスセンスが高いこと(「研究成果から技術を見抜く能力」は勿論、「技術の活用市場を見出す能力」、さらに「技術を事業化に結び付ける能力」)である。KLCのCDもこのような適性・能力を身につけるよう努力している。(2)『近大リエゾンカフェ』を開設 CDが勤務するKLCは大学構内の本館ビル6Fにある。「大学の敷居が高くて、どうつき合っていいかわからない」という中小企業関係者の意見に応えるため、気軽に立寄って、打解けた気分でCDに相談できる場として、学内喫茶の一画に『近大リエゾンカフェ』を2013年4月に開設した(図2)。中小企業関係者には好評で、リピーターも増え、相談件数や受託研究の実施件数等の増加に繋がっている。図2 学内喫茶の一画に設置された「近大リエゾンカフェ」(3)研究シーズの積極的発信 本学の研究シーズをまとめた「シーズ集」を作成し、ホームページで公開している。これまでホームページで公開していた「近畿大学研究業績データベース」を個人の論文・特許・実績などのプロフィールを登録できるインターネットサービス「Researchmap」へ移行し、情報発信力の強化を図っている。理系の研究・技術に留まらず、法律講座や町おこし等の取り組みも登録できる点が特色であり、法学部・経済学部等文系の教員の地域貢献への意識を高める効果も働いていると考えている。  KLCは「近畿大学研究シーズ発表会」を地元の東大阪市と東京都大田区で、それぞれ東大阪商工会議所、(公財)大田区産業振興協会等のご後援を得て、年1回開催し、本学の特色ある研究成果を企業関係者に紹介するとともに、企業関係者との意見交換に努めている。本シーズ発表会には、例年多くの企業関係者の参加があり、2015年度の参加者は、東大阪市会場で138名、大田区会場で153名であった。また商工会議所や銀行等が主催する出展展示会、シーズ発表会、講演会等にも積極的に参加し、東京と大阪を中心に毎年約30回のシーズ紹介を行っている。(4)知財管理 大学の研究成果が産業で有効に機能するためには、知的所有権として明確に保護されていなければならない。KLCのCDの具体的取組みの主なものは、特許出願に必要な手続きおよび必要要件等について教員への説明、他機関との共同出願の案文作成および費用負担や権利の持ち分等の交渉、拒絶理由書への対応に当たって特許事務所等への相談、PCT(国際特許)出願時の科学技術振興機構との打ち合わせに同席・説明資料の作成などである。企業等からの「共同・委託研究依頼申込書」に対して、学内手続きで必要な「共同・委託研究承認申請書」や「共同・委託研究契約書」はCDが予め案を入力したファイルを教員に送り、教員の負担を軽減していることで、申し込みから決裁までがスムーズに進んでいる。これにより近畿大学の特許出願676件と登録数296件(いずれも2016年6月現在の累積数「特許情報プラットフォーム」より)は、関西圏の私立大学では第一位となっている。 このようなKLCの諸活動を通じて得られた成果の一端を紹介する。まず企業からの技術相談、技術指導等の件数であるが、2009年度38件であったが、年々増加し、2015年度は305件となり、この7年間で8倍に増加した(図3)。このような大幅増加には多忙な教員に相談に応じてもらうための動機づけを行った

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