View & Vision No42
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19特 集大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―42特 集 7月10日、参院選が行われた。選挙の争点がはっきりしないまま投票日を迎え、結果与党圧勝に終わった。その中で注目されたのが18歳〜19歳投票率だ。本学においても、選挙前、学内で微かに政治に関する学生同士の会話を耳にすることはあったが、雰囲気としては判断材料となる“争点”が見えなかった分、残念ながら低調であったように思う。 結果は18歳〜19歳の投票率が45.45%、全体の確定投票率を9.25ポイント下回った。 実際に党首討論やテレビ各局で話題になっていたのはアベノミクスに関する成果アピールと批判ばかりで、若者たちにとっては決して面白い議論ではなかったように思われる。 だとすると、私たち大人は、若者たちと「アベノミクス」に対する失敗か否かという議論を、消費税延期論とも絡めながら、海外メディアの論調にも留意しながら真剣に進めることは当然のこととして、さらにもっと身近なところで今までにない経済成長に繋がる新しいマーケット開発、商品開発の種まきを進めるべきであると考える。 私の所属する人間社会学部は2年前にスタートした新しい学部で、今年3年目を迎えている。学生は家族コース、社会コース、福祉コースの3コースから自らの学ぶ専門領域を選択し、福祉コースにおいては医療・介護・福祉フィールドにおける新たな問題解決の担い手(医療・介護・福祉フィールドのマネジメント人材)育成を行っている。 そうした人材育成プログラムを「地域包括ケアシステム」の考え方をベースに、産学官民連携というネットワークを接着剤にしながら実践している事例報告をさせていただく。それが「銀座芋ROCKプロジェクト」であり、少子高齢化、人口減少社会における新たな市場開発、商品開発をヘルスケアの視点も絡めながら進めている。 本論文では第2章でプロジェクトの概要を述べ、第3章、第4章では教育的効果性に視点を向け、第5章、第6章、第7章で「地域包括ケアシステム」に絡む背景を述べている。 このプロジェクトは「NPO銀座ミツバチプロジェクト」の理事長 田中淳夫氏からの発案からスタートしている。ビル(大学、高齢者施設、他)の屋上で芋を育て、その芋たちの栄養分となる人工腐植土は廃牛乳やヒトデなどの産業廃棄物の有効活用を推進している大手ゼネコン『熊谷組』の研究室で開発されている。屋上で育った芋が九州福岡の酒蔵で「焼酎」(商品)となり三越銀座店、松屋銀座で販売され、そこで生み出されたお金(利益)がまた地域に還元されて行くというストーリーである。千葉商科大学人間社会学部教授和田 義人WADA Yoshitoプロフィール1984年成城大学経済学部卒1996年〜株式会社伊勢丹グループ外販シルバービジネス担当部長1998年〜医療法人社団 翠会グループにて高齢者医療・介護プロジェクトを推進2012年経済産業省(医療・介護周辺サービス産業)検討委員会にてICT活用事業を推進はじめに(主要論点)1大学のマーケティング力で市場をつくる〜産学連携による芋焼酎作り〜━ソーシャルビジネスを実践的に学びながら地域支援ネットワークの構築を目指す━「銀座芋ROCKプロジェクト」の概要2大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―

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