View & Vision No42
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20特 集大学のマーケティング力で市場をつくる ―産学連携による商品開発―42 銀座ミツバチプロジェクトは2006年にスタート、今年で11年目を迎えている。ミツバチの飼育を通して、都市と自然環境との共生を目指しているが、採れた蜂蜜は銀座地域のデパートやバー、スイーツ店で次々に新たな商品となり、地元の中学校では養蜂が授業カリキュラムに採用され、生徒さんたちは養蜂を通して、実践的な環境保全と商品開発を学んでいる。また、現在は首相公邸の中庭で昭恵夫人が養蜂に取り組んでおられる。 下の写真は、そのような物語を経て完成した焼酎である。左の濃い方が33度の原酒ボトルで1本5,000円(税抜き)右が25度 3,000円(税抜き)。<銀座芋人> 包装紙の片面には銀座地区と本学(千葉地区)のマップが印刷されており、そのマップには今回のプロジェクトに協力頂いた法人、個人名がアルファベットのマークとともにずらりと並び、その裏面には以下のような文面が記されている。銀座のイモとミライ 近年、高校生や大学生が企業とコラボレートして、新たな商品開発をする試みは珍しい話ではない。具体的な事例としては、コンビニエンスストアとの商品開発や、お弁当の開発、スイーツ開発等がある。 こうした商品開発に学生が関わることの教育的効果は大変に大きな効果性があると思われる。講義では学ぶことができない実践的な学習(アクティブラーニング)として本学人間社会学部においても積極的に取り組んでいる。 ただし、“やること”話題性が先行してしまい、商品としてどう継続的な販売とマーケットの拡大に繋げるかという“事業計画”“戦略ビジョン”の策定が後手後手になってしまい、「素敵な商品ができました・・・」というレベルで自己満足に終わってしまわないような準備と戦略が必要であると思う。 そもそも、いわゆる“今どきの若者たち”は“自分の頭で考える”ことがあまり得意でないようだ。スマホが生活における必需品となり、スマホに触れている時間が一日5〜6時間という依存症的な若者たちが増えていることは間違いなのない事実である。 彼ら、彼女たちは、新たな課題に遭遇すると、自分で考えるのではなく、まずスマホで検索するという動作が一般化してしまったように見受けられる。そうすると、課題に対する解決(正解)を自らの頭で考え、答えを導き出していくという思考プロセスではなく、スマホから“答えらしきものを引っ張り出してくる”ということが、あたかも学習であるかのようなスタイルが定着しつつあり、そのことは今後の我が国に必要とされる人材育成という課題にとって、甚だ厄介な問産学連携による商品開発の重要性と教育的効果3都会で働くいい大人たちが、仕事の合間にビルの屋上で土をほじくり、苗を植え、すこしだけ、少年・少女の顔になる。そんな新しい時代の都市の姿が、ここ「銀座」に生まれています。育てているのは、サツマイモ。極上のイモ、ではなく、屋上のイモ。で、そのイモでなんと、芋焼酎を造っちゃった。千二00本。ちっぽけな屋上イモが、人と人、思いや知恵をつなげ、耕作放棄地化した屋上緑化の成りの果ても、新しい姿で息をし始めた。革新的に美味しい、そんな芋焼酎ではないけれど、この焼酎造りで、都市の姿を革新していけるかもしれない。都市のビルの屋上(今はまだ十二か所)で、イモを育てる「銀ギン座ザ芋イモ人ジン」たち。数年後には、一万本を目指すと意気込んでいる。色々な「この街が好きだ」が、ある。銀座のお土産、お土産ばなしに、一本いかがだろう。あるいは、あなたも、一緒に「芋イモ人ジン」になってみるとか。

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