View & Vision No42
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2542 私が本学で教鞭をとりはじめてから五年目となりました。三月にはゼミの一期生が卒業し、感無量といったところです。私の専攻は情報工学で、出身校も前任校もいわゆる理系の大学です。ゆえに本学に着任した当初は、文化や雰囲気の違いにとまどったものです。また、いわゆる文系の学生はやんちゃで、いわゆる理系の学生はオタクという分類は当てはまっている感じはしません。どっちもどっちといったところでしょうか。 しかし、その表現自体が曖昧模糊といいますか、「文系」「理系」という分類は厳密には定義されていない【ことば】です。人文科学や社会科学が文系的な学問で、自然科学が理系的な学問というくくりが、ひとつの定め方でしょうが、それはいわゆる「文系人間」「理系人間」という分類と、直接の結びつきはありません。 そう。先程から「いわゆる」と枕につけているように、しっかりと定義がされていない、曖昧な【ことば】を使うことが、妙に気持ち悪い――という性格が、まさに私が(いわゆる?)理系人間であることを示しているのだと思います。 話を戻しましょう。私は本学で「情報科学概論」という授業を担当しています。情報とは何かという基本的なことから、コンピュータやインターネットの仕組み、統計的手法の基礎といったことまで、概論と称していますし、広く浅く、そしてビジネス的な事例を絡めて講義を行っています。 その授業内において「この〇〇というのは、△△というような意味だけど、バズワード(buzz word)と言われることもある」という説明が、年々増えていることに気がついた……というのが本稿のテーマです。 バズワードとは、以下のようなものとして知られています。  主にIT業界に見られ、何か新しい概念を表しているようだが、明確な定義が定まっておらず、宣伝文句的に都合よく使われる言葉のこと。 まさに、しっかりと定義がされていない【ことば】であって、仕方なく授業内では先のように説明していエッセイバズワード(buzz word)でつなぐ商学と情報工学千葉商科大学商経学部専任講師小林 直人KOBAYASHI Naotoプロフィール2007年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学、工学博士。2006年早稲田大学メディアネットワークセンター助手、2009年東京工科大学メディア学部助教を経て、2012年より現職。情報工学の研究に従事しているが、本学ゼミナールではビデオゲームに関する商学的・工学的内容について指導中。1.はじめに

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